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Side松倉
「……喧嘩した、ちゃかと。」
「へぇ、珍し。」
なんで？とか、しずは詳しいことを何も聞いてこない。でも、俺は心に溜まったもやもやを吐き出さずにはいられなかった。
「ちゃか、先生たちに言わなきゃいけないことがあって。いつも俺が代わりに言ってんじゃん？そういうの。でも、今回は自分で言いたいって。けどまた無理してパニック起こしたら、ちゃかが辛くなるから。だから、遠慮すんなって。いつも俺から先生たちに伝えてるんだからいいじゃんって、言ったの。そしたら……」
「そしたら？」
「……馬鹿にすんなって、言われた。」
馬鹿にしたつもりなんか、なかった。だから、今でも正直納得できない。
俺はちゃかが心配なだけなのに。いつも通りのやり方で、何が悪いんだよ……？
「……なるほどなぁ。」
納得したようなしずの声に、思わず顔を上げた。何が“なるほど”なのか聞きたくて、その横顔をじっと見つめる。
「変わりたいんだな、ちゃかも。」
「変わりたい、？」
「大人と話せない自分を変えなきゃって、ちゃかは今もがいてるんだろうな。大変なことに、挑戦しようとしてる。」
俺は、しずの言葉を何回も頭の中で繰り返した。庭ではいつの間にかちびっ子たちが喧嘩を始めていて、施設の先生が必死に間に立っている。
「……俺が、ちゃかの挑戦を邪魔してるってこと？」
しずは、驚いたように俺を見つめてきた。俺やちゃかに比べたらずっと大きな体がこっちを向いて、はっきりと首を横に振る。
「……俺は、なんでちゃかが変わらなきゃいけないのかわかんねえよ。ちゃかは十分強いし、優しい。できないことなんて、あっていいじゃん。死にそうな思いしてまでちゃかが変わらなきゃいけないなんて、俺は思わない。」
一気に言い切ると、しずはなんでか嬉しそうに笑った。大きい手が、ふわりと俺の頭に乗る。
「松倉は、そのままでいてやれよ。」
「そのまま？」
「うん。変わるってさ、すげえ痛いし苦しいんだ。でも、それでも変わろうとしなきゃいけないこともある。そんな時に、お前はそのままでもいいんだ、今のお前も十分素敵だって、丸ごと認めてくれるやつが1人いるだけで、勇気が出るもんだよ。」
お前が、ちゃかの帰る場所なんだ。
そう言って笑うしずと俺の間に、ポツリと一つ、雨粒が落ちた。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
