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Side松倉
ちゃかが大人に恐怖心を持っていることに気づいたのは、出会ってすぐの頃だった。
母子家庭で生活もかなり苦しかった俺は、小さい頃から近くの児童養護施設にしょっちゅう遊びに行っていた。両親がいる子たちより、施設の子たちの方が自分に近いような気がしていたし、先生たちも誰も叱らなかったから。
そうやって第２の家みたいになっていた施設にちゃかが来て、俺たちはすぐに友達になった。
友達付き合いが上手なちゃかは、面白いし穏やかだし、乱暴なことも絶対にしない。俺だけじゃなく、施設のみんながちゃかと友達になりたがった。
でも、施設の先生とか大人の人に話しかけられると、ちゃかは人が変わったみたいになった。パニックを起こして倒れるちゃかの姿を見たのは、１回や２回じゃない。
先生たちの話では、ちゃかは両親を亡くした後、引き取られた親戚の家で暴力を受けてこっちの施設に来たらしい。その記憶はずっと、ちゃかを苦しめている。
だから俺は、決めたんだ。ちゃかの隣にいて、ちゃかを守るって。
体調が悪くて、学校を休みたい時。着ている服が小さくなった時。ちゃかのそばにいて、俺はちゃかの言えない気持ちを全部大人たちに伝えてきた。
「……さっきの話だけどさ、俺が先生たちに言おうか？」
「え？」
「新しい靴買ってって、俺から先生に言うよ。」
俺が言うと、ちゃかは立ち止まって自分の足元に視線を落とした。右のつま先に穴が開いた、ボロボロのシューズ。
少し間を空けて、ちゃかはゆっくり口を開いた。
「……いい、自分で言う。」
「え、でも」
「しずになら、言えるかもしれないから。」
しずは、１週間に１回施設に来るカウンセラーさんだ。たしかに他の先生よりは話しやすそうだけど、それでもちゃかに無理はしてほしくない。
「遠慮すんなよ。だって、こういうのはいつも俺が先生たちに言ってたじゃん。」
何気なく言った、一言。この言葉がちゃかを傷つけるなんて、俺は想像もしていなかった。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
