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Side海斗
「……この後、どうする？」
元太から遠慮がちに声をかけられたのは、午後の最初の授業、数学の時間が終わった時だった。あくびをしたりだるそうに伸びをしたり、明らかに緩みきった教室の空気がざわざわと動きだす。
「次？…………あ、体育。」
「保健室、行く？」
「え、なんで。」
「だって、顔色悪いし。」
そうかな、なんてとぼけながら、内心は図星だった。ただ座って授業を受けているだけなのに、俺の体はすぐに電池切れを起こす。なんとなく酸素の薄いような感覚があって、正直に言えば早く横になって休みたかった。
「今日雨だし、どうせ体育館で……」
言いかけた元太の言葉は、誰かの声にさえぎられた。「男子は体育館でフットサル！」とクラスの男子の声が聞こえた瞬間、眠気を引きずってどんよりしていた元太の目が変わる。
「元太。俺、大丈夫だよ。」
せっかくだから元太がフットサルしてるの、見てえな。
言葉を重ねるうちに、元太の顔から戸惑いが少しずつ消えていく。元太は嬉しいのを必死にこらえているような顔で、小さく頷いた。
「……あ。でも俺、ジャージ持ってきてないや。見学なら制服でもいけんのかな。」
「俺のジャージ、着る？」
そう言うと、元太は長い丈の上下を貸してくれた。「どうせ暑くなるから」と、自分は半袖とハーフパンツをもって席を立つ。
男子更衣室に着くと、元太は何のためらいもなく制服を脱いでジャージに着替えた。他の男子たちも同じような感じだ。俺だけが、ジャージをもって立ち尽くしてる。
「……海斗、こっち。」
俺の肩に、元太の腕がまわされる。日焼けしたその腕の優しい力に押されて、俺は更衣室の端に連れていかれた。
「俺、ここに立ってるから。ゆっくり着替えていーよ。」
そう言うと、元太は俺に背中を向けて立った。
「……ありがとう。」
情けなく震えたれの声にも、優しい背中は振り向かない。
胸に残った傷も、腕についた点滴の痕も。全部包み隠すように、俺は元太の匂いがするジャージに袖を通した。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
