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Side海斗
「はあ！？なんだよそれ！！」
ほぼ絶叫みたいな声の後に、ゲホゲホとむせる音が続く。手探りでテーブルのペットボトルを見つけて、それをそっと海人の方に押しやった。
「……っ、じゃあ、そいつは海斗のこと吹っ飛ばした後、なにもしないで逃げたわけ。」
頷くのもなんとなくためらわれて、俺は曖昧に顔を傾けた。状況的にはたしかに吹っ飛ばされたようなものだけど、いざその表現を使われると自分がものすごく弱い人間だって改めて突きつけられたような気分になる。
「……急などしゃ降りだったし、向こうも慌ててたんだと思う。」
「いや、それはそうだけどさ……。」
そう言ってから、海人はハッと息をのむような音を発した。
「海斗、転んだときってどんな感じに転んだ？」
「どんな感じって？」
「前に転んだ？それとも後ろ？」
「えっと……後ろ、かな。うん、後ろ向きに倒れた。」
「ちゃんと受け身とった？頭打ってないよね？」
「頭、？打ってないよ。大丈夫。」
転んだ時の記憶ははっきり残っているから、自信をもってそう答えつつ、俺はぞっとしていた。転び方によっては、もっと大変なことになっていたかもしれないんだ。
「……俺、あんな派手に転んだの初めてで。」
「うん、」
「こんな痛いんだって思った。怖かった。その、受け身とか、転び方だってまともに知らなくて。」
海人は、何も言わなかった。顔が見えない分、沈黙は何より怖い。
「子供のうちに、知っとくべきだったよね。こういうの。大人になってから初めて知るとか、めっちゃダサい(笑)。」
自嘲気味に言うと、「そうかな」とすかさず声が飛んできた。顔を上げて、声のする方を向く。
「今知ったんだからいいじゃん。年齢なんて、ただの誤差。」
海人の匂いが、さっきよりも近い距離に来た。高校生の頃から好きで使っているらしい香水の匂いだ。「怖かったっしょ」と労わるような声が、鼓膜を柔らかく揺らす。
「……やっぱり俺の父さんの愛情ってさ、ちょっと普通じゃなかったよね。」
「まあ、普通かって聞かれたら、ちょっと違うかもだけど。でも、今までその愛情が海斗を守ってくれてたんでしょ。」
俺はその言葉に、静かに、深く頷いた。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
