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Side海斗
誰か、来る。
正面から人が向かってくる気配がして、俺はその場に立ち止まった。本当は横にそれて避けたいけれど、点字ブロックから外れるのが怖くて動けなくなってしまった。
「いっ……！」
とっさに身構えても、相手は全然スピードを緩めなかった。そのままの勢いで向かってきた体と正面からぶつかって、道路に体を叩きつけられる。
「あー、すいません。」
だるそうな間延びした声が降ってきて、俺は慌てて体を起こした。「ちょっと急いでるんで」とぞんざいな言葉を残して、俺がぶつかっただろう相手の気配が遠ざかっていく。
「え、ちょ、待って！待ってください！」
手を伸ばしても、もうそこに相手はいなかった。しばらく呆然として、それから行き場を失くした手を地面に下ろす。
湿ったアスファルトの上を探ると、白杖はすぐそばに転がっていた。すがりつくように白杖を握って、ゆっくり立ち上がる。
「うっ、！」
立ち上がった瞬間、体がぐらついてまた道路に倒れてしまった。全身が痛くて、情けないくらい震えが止まらない。
こんなにしっかりと転んだのは、きっと初めてだった。必死に踏み出した足が経験したことがないくらい痛くて、涙が出そうになる。
「外は危ないから」と言って、今まで父さんは一度も俺に外を歩かせなかった。成人してからその言葉通りのことを身をもって体験するなんて、あまりに今更すぎて恥ずかしいし情けけない。筋違いに父さんを恨みたくなる幼稚な怒りと、今すぐ父さんに助けてもらいたいと思う甘えを抱えて歩く俺は、ただスーツを着ただけの子供だった。
歩き続けるのが怖くなって、何度も立ち止まった。でも、もう俺は1人で歩かなきゃいけない。
歯を食いしばって、前に進んで、俺はやっと誰もいない家にたどり着いた。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
