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Side海斗
「宮近くん、日焼けしたね。」
隣のデスクからそう声をかけられたのは、終業時間が近づいてきたころだった。
「……そう、ですか？」
「そうそう。前はお肌真っ白って感じだったけど、今は健康的な色になった。」
弾んだ先輩の声に重なるように、終業のチャイムが響く。お疲れ、と声を残して、先輩の気配は遠ざかっていった。
思いきり伸びをして固まった体をほぐすと、腕のあたりが鈍く痛んだ。
「真っ白」も「健康的な色」も俺にはわからないけれど、体のあちこちに傷がついていることだけはよくわかる。就職してから数ヶ月経った今も、つまずいたりものにぶつかったり、痛みを感じずに過ごせる日は少ない。
特に危ない目に遭いやすいのは、やっぱり通勤の時だった。同じ道を歩いていても、天気も変わればすれ違う人も車も毎日変わる。情けない話だけど、外を1人で歩くのが怖い気持ちはまだ全然拭えていない。
「宮近くん、もう上がっていいよ。」
「……あ、はい。お先に失礼します。」
残っている先輩社員たちに頭を下げて、会社を出る。一日の業務が終わった解放感はない。これから外に出ると思うだけで、また違う緊張感が体にまとわりついた。
「……ん？」
歩き始めてすぐ、白杖を持つ手に冷たいものを感じた。ぽつぽつと冷たい液体が、頭の上で弾ける。
「最悪……。」
思わずこぼした言葉は、急に慌ただしくなった周りの足音にかき消された。天気予報にはなかった、急な雨。大量の人の気配が、スピードを上げて俺の横をすり抜けていく。
「……っ、落ち着け、落ち着け、！」
雨に気を取られた人たちは、普段よりずっとギリギリのところで俺を避けていく。ぶつかりそうになる恐怖に飲み込まれないように、俺はいつも以上に慎重に点字ブロックの感触をなぞりながら歩いた。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
