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Side海斗
「そもそも、なんで一人暮らしなんかしようと思ったわけ？」
段ボールを開ける音に重なって、親友の気だるげな声が聞こえる。その質問もう飽きたよ、と返すと、ふっと鼻で笑う音がした。
「だってさ、大学卒業したらみんな当たり前に実家出てくじゃん？……いや、そもそも進学の時に出るやつだっているし。目見えないからって、なんで俺だけ理由が必要なんだよって話。」
「まあ、それもそうだけど。でもさ、経験者から言わせてもらうと一人暮らしってガチめんどいよ。飯とか、部屋の掃除とか、マジでだるいしテキトーになる。そこまで一人暮らし熱望する方がすげえなって思うけど。」
別に熱望したわけじゃないけど、と返しながら、俺はゆっくり立ち上がった。
一人で生活するのがどれくらい不便かは、正直言ってまだ想像がつかない。でも、実家以外で暮らしたことのない俺は、早速大きな不便にぶち当たっていた。
「……あ、海斗ストップ！そのまま行くとテーブルにぶつかる。」
「え？あぁ、ごめん。」
慣れないアパートの間取りとか家具の位置が、まだ体になじんでない。今はまだ、トイレに行くのすら一苦労だ。
「俺も一緒に行くわ。」
近所に住む幼馴染でずっと一緒だった海人は、慣れた様子で俺のサポートをしてくれる。物の位置を方角で教えるのだって、お手の物だ。
「……しっかし、よくあのパパが許してくれたよなー。」
妙に感心したような声がドアの向こうから聞こえたのは、ちょうどトイレから出ようとした時だった。
「だって、海斗が何するにも絶対ついてきてたじゃん？一人暮らしするなんて言ったら、あの人絶対発狂すると思ってたんだけど。」
「……発狂は大げさじゃね？」
「そうかな。だって俺、今でも覚えてるよ？お前のこと勝手に家から連れ出そうとしたら、ガチで怒鳴られたの。『海斗に何かあったら許さない！』って(笑)。」
その台詞を聞いた瞬間、嫌な汗が噴き出した。その時のことは、俺も覚えてる。懐かしそうに話す海人の声が明るいのが救いだけど、当時は大事な友達に嫌われることが怖くて仕方がなかった。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
