●ちゃんと痛いって知りたかった(赤×白緑) ページ32
ちゃか×のえる
・みきこ様リクエスト
・notリアル設定
・生まれつき目が見えない息子(ちゃか)と、過保護な父親(のえる)のお話
Side海斗
どうして、と投げかけられた質問に、俺は何も答えられなかった。
「どうして、家を出たいの？」
トントン、と一定のリズムで鳴る音の間に、もう一度同じ質問が挟まる。
俺が黙っている間も止まることのないこの音は、包丁で食材を切る音。ご飯時の匂いとセットで記憶しているから辛うじて料理をする道具だということは理解しているけれど、実際には包丁に触れたことすらない。
「……就職するタイミングだし、家出るにはちょうどいいかなって。」
「でも、家から通えない距離じゃないでしょ？」
「そうだけど……」
そうだけど、そうじゃない。一人暮らしをしたい理由は確かに自分の中にあるのに、徹底的な理論派の父親を納得させられそうな言葉を見つけることはできなかった。
「……自立したいんだよ、俺も。」
結局引っ張り出したのは、なけなしの一般論。
だって春から社会人だよ？自分の収入でちゃんと生活したいし。これ、普通じゃない？
言葉を重ねれば重ねるほど、なぜか嘘をついてるみたいな気分になってくる。いつの間にか、包丁の音は止んでいた。
「……わかった。」
「え、いいの？」
「うん。」
自分からお願いしたくせに、いざOKが出ると拍子抜けしてしまった。
通学も含めて、1人での外出は禁止。アルバイトも当然禁止。料理も洗濯も、絶対俺にはやらせない。そんな父親が、こんなに簡単に一人暮らしを許すなんて思っていなかった。
「ごはん、もうすぐできるよ。」
一世一代の大喧嘩をするくらいのつもりで持ち出した俺の話なんかまるでなかったみたいに、台所から聞こえる父親の声はどこまでもいつも通りだった。
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みなさま、お久しぶりです！書ききれていなかったリクエストをこれから少しずつ進めていきたいと思います( ; ; )
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
