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Side龍也
「うわ……」
なんとなく息苦しい感じがして、目が覚める。とりあえず起きようと思って体を動かすと、心臓が嫌な感じに脈打った。
ヤバいかもって直感で思ったけど、薬も手を伸ばして届く距離にはないし、とりあえず立つしかない。
「……っは、ぁ……」
ドクドクと速すぎる心臓のリズムに、さすがに少し焦る。なんで？昨日の検査は大丈夫だったのに。
ほんの数歩の距離で、息はすっかり上がっていた。震えが止まらない手で、なんとか発作止めの薬を出す。
結構強めだから、本当はあんまり飲みたくない薬。でも、学校に行くまでに楽になるにはこれしかない。
飲んで少しすると、本当に呼吸は楽になってきた。代わりに副作用のめまいが出てきて、床に座り込む。
「治まれ、治まれ……！」
体育座りになって、顔を伏せて。揺れる世界から逃げようとして、必死に目を瞑る。
どのくらいそうしていたか、やっと少し楽になって来たときドアの外から如恵留の声が聞こえた。
「龍也、朝だよー。」
慌てて立ち上がったのとほとんど同時に、ドアが開く。
「……珍しい、もう起きてたんだ。」
「当たり前じゃん。もう自分で起きれるし。」
笑顔で返事をする。多分、笑えてると思う。
「……如恵留。俺、今日は朝ご飯いらない。」
「え、なんで？具合悪い？」
「ううん。全然大丈夫だけど、俺課題やるの忘れてて。早く行ってちゃかにノート見せてもらわなきゃ。」
それなら車で送るよって如恵留は言ってくれたけど、俺は首を横に振った。如恵留に送迎してもらうのは、高３に上がってから卒業したんだ。
「……ほら、もう着替えるから。」
昨日アイロンをかけたばっかりのシャツを手にとって、なかなか動かない如恵留を無理やり部屋から追い出す。如恵留の足音が遠くに行ったのを確認してから、俺は閉まったドアに手を当てたまましゃがみこんだ。
本当は、全部如恵留に言いたかった。でも、俺の体調が悪いって知ったら、如恵留はまた無理やり会社を休む。そして俺が寝た後に、やるはずだった仕事を必死に片付けるんだ。
それが分かってるのに、このドアを開けて如恵留に「助けて」を言えるほど、俺はもう子どもじゃない。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
