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Side如恵留
元太、今は落ち着いてるよ。
母親からのメッセージがスマホに届いたのは、夕食後の10分。1日の中で唯一自由にスマホを使っていいことにしている時間だった。
「……ねえ。元太、本当に大丈夫なの？」
まだ夕食をとっている途中の父親に聞いても、「大丈夫だ」とあっさりした返事しか返ってこない。
「如恵留は受験が近いんだから、今は自分のことに集中しなさい。」
何度も言われたセリフをまたねじ込まれて、結局俺は何も言えなくなった。
最近両親のどちらかが殆どの時間を病院で過ごすようになっていることに、俺が気づいてないとでも思っているのか。もっと、元太のことを俺にも教えてくれてもいいじゃないか。本当は、そう言って問い詰めたかった。
でも、俺の目の前には絶対に越えなければいけない関門が迫ってきている。元太と約束した、医師になる夢。その入り口になる医学部受験の本番はもう、すぐそこだ。
落ち着いて勉強に集中するべきだと悟っている理性と、それでも元太のことが気になって仕方がない感情。両方がせめぎ合ってぐちゃぐちゃになっている頭を抱えたまま、俺は毎日の受験勉強と向き合っていた。
そんな状態で元気でいられるわけもなくて、数日後に俺は学校を早退した。そんなにひどくはないけど、頭痛がして勉強に集中できない。とりあえず寝てしまいたい一心で、俺は家に帰った。
「……あれ、」
家の玄関に入ると、両親の靴がそろっていた。もう少しで夕方というくらいの時間だけど、普段なら2人ともが帰宅しているような時間じゃない。
「何してんの、？」
荷物をまとめていた母親が、驚いた様子で振り向く。元太の荷物をまとめているとすぐにわかったけれど、いつもの比じゃないないくらいの大荷物だ。
「だから、何してんのって！」
大きい声はあまり出し慣れていなくて、少しだけむせてしまう。目の前がかすんで見えるのは、多分むせて涙が出たせいだ。
「……如恵留。あのね、」
母親が続けた次の言葉で、頭が真っ白になった。
黙っててごめん、と言う母親の言葉を最後まで聞き終わらないうちに、俺は家を飛び出していた。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
