●ひとりじゃないから(青×白) ページ27
げんた×のえる
・らら様リクエスト
・notリアル設定
・心臓の病気を抱える弟の元太(高1)と、兄の如恵留(高３)のお話
・S.tiger【病系短編集】15「君とみる夢」の続編です。
Side如恵留
イヤだなぁ、とこぼした弟の小さな声を、俺は聞き逃さなかった。
「なにが嫌なの？」
その質問には答える気がないと言わんばかりに、元太は黙って首を横に振った。サラサラ、と柔らかい黒髪が枕にこすれる音がする。
「……空は、やっぱ広い方がいいよな。」
元太の視線の先には、窓枠で四角く切り取られた空。そろそろ雪が降りだすんじゃないかと思うくらいに、寒々しい白一色の空がある。
何の話だろう、とは思ったけれど、それ以上は何も聞かなかった。
小さい頃からお世話になっているこの病院に元太が入院してから、もう１か月以上が経つ。状態は決していいとは言えなくて、近いうちに人生で何度目かの手術を受けることも決まっているのだから、元太も相当気が滅入ってるのかもしれないと思った。
「……兄ちゃん、俺さ、」
元太が、青白い顔をこっちに傾ける。手に持っていた参考書を閉じて、ん？と聞き返した時だった。
「……っ、ちょっと、苦し、か、もっ、！」
「え？」
慌てて元太の枕元にあるナースコールを押すのと、機械が心臓の異常を知らせる警告音を鳴らすのはほとんど同時だった。
すぐに主治医の先生と看護師の人たちが駆け込んでくる。如恵留くんごめんね、と声をかけてくれるのは、すっかり顔なじみになった看護師さんのうちの１人だ。
「……っはぁ、ゴホゴホ、うぅ、」
「元太くん、大丈夫だよ。すぐ楽になるからねー。」
あごを上げてあえぐような呼吸を始めた元太の口元に、吸い込むリズムがつかめないといつかぼやいていた酸素吸入器があてがわれる。
苦しむ元太に何かをしてやれる力がまだない俺は、ただ押し出されるままに病室を出るしかなかった。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
