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Side宮近
「ただいまー……。」
家のドアを開けて、返事も電気がついている部屋もないことを確かめる。よかった、とりあえず松倉はいない。
「……っ、ケホケホ、」
安心してソファーに倒れこんだ瞬間、喉のあたりが詰まって咳が出た。
大事なリハの途中に倒れて、病院に担ぎ込まれて。思い出すだけで寒気がするくらい、今日は最悪なことをしたと思う。色んな仕事関係の人たちがいる前で倒れて、時間も奪ったんだ。本当に、やっちゃいけないことだった。
「……あー、もう。」
情けない声が、誰もいない真っ暗な部屋に響く。両手で顔を覆えば、まだ残ってる熱がじわっと手のひらに伝わってくる。起き上がって電気をつけるのすら億劫で、俺はそのまま目を閉じた。
「ちゃか……？」
おびえたような声が、頭の上から降ってくる。いつの間にか寝ていたらしい。はっとして目を開けると、顔を覆ったままの手の隙間から部屋の灯りが見えた。
「……松倉、」
「なんで、いるの？」
入院するんじゃなかったの？と聞く松倉の声が、震えてる。顔から手を離してみると、松倉は俺のすぐ近くで両手に袋を持ったまま突っ立っていた。
「点滴してもらったら、だいぶ熱下がったし。だからもう……」
「……っ、ふざけんな！」
一瞬誰の声かわからなくなるくらい、松倉らしくない声だった。慌てて起き上がった俺の目の前で、松倉の持っていた袋が音を立てて床に落ちる。
「……帰れよ。」
「は？」
「病院、今からでも戻れって！」
「いや、ちょっと落ち着けって……」
上着を無理やり着せかけてきた松倉に、さすがに呆気にとられる。俺は肩にかけられた上着を脱いで、笑顔をつくった。
「俺、家主だから。追い出すなよ(笑)。」
冗談っぽく言って笑わせようとしたのに、松倉は少しも笑わなかった。ネコ目がきゅっとつり上がって、あっという間に涙の膜が張っていく。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
