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Side松倉
こんなに早く心配が現実になるなんて、さすがに思っていなかった。
通路に出た瞬間、目に入った人だかり。何が起きてるのかわからないはずなのに、俺は直感で「ちゃかだ」と思った。
「すいません！ちょっと、通して！」
自分よりずっと背の高い人たちの間をかき分けて進む。小さい体が壁際でうずくまっているのが、すぐ目の前に見えた。
「……っ、ちゃか！」
「まつく、ら、」
見てるこっちが辛くなるくらい、ちゃかは肩を持ち上げて必死に息をしていた。ちゃかの隣にしゃがんで、びっくりするくらい熱い体を抱きかかえる。
「……あの、大丈夫なんで。みなさん、戻ってください。」
もっといい言い方あるだろって思ったけど、余裕がなさ過ぎて上手い言葉が見つからない。ただ、ちゃかを安心させたくて必死になりすぎてしまった。
「ほんとに、すいま、せん、でした…。」
か細いけれど、それでもしっかりと顔を上げてちゃかが周りの人たちに頭を下げる。タイミングよくスタッフさんが来てくれて、出演者の人たちはみんなスタジオに戻っていく。
「医務室のスタッフと、マネージャーさん呼んできますね。」
そう言って、スタッフさんも駆け足でいなくなった。ホッとできたのも一瞬だけで、2人きりになった瞬間今度は急にちゃかの呼吸が速くなる。
「ちゃか、ちょっと過呼吸っぼくなってるよ。とりあえずマスク外そ？苦しいっしょ？」
「……だ、ハァハァ、…っだめ、うつ、る、」
「移んないから。もう俺しかいないんだし、気も使わなくていいの。だから外そ？」
ちゃかの返事を聞く前に、俺は無理やりマスクを下にずらした。マスクの下の顔は真っ赤だし、必死に息を吸おうとして口は歪に開いてる。正直、こんなになるまで我慢なんかしてほしくなかった。
「俺が、…っはぁ、途中で抜け、た、から。みんな、心配し、てくれ、て…」
「わかった。わかったから、無理して喋んな。」
意識朦朧って感じなのに、それでもちゃかが気にしてるのは自分以外のこと。そういうちゃかの優しいところがいつもは好きなのに、今だけはイラついてしまう。
「まつ、く、ら」
「ん？」
「なん、か、チカチカ、する…」
「え、？」
ちゃかの目が、さっきより虚ろになってる。震えるちゃかの手が俺の指を握った瞬間、その目は閉じてしまった。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
