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Side宮近
「……っひ、ぁ、」
雨と汗にまみれた体はただ重くて、海の底に落ちたみたいに息ができない。少しずつ視界が狭くなってきた時、柔らかいものに体が包まれた。
「ちゃか……！」
「ま、ま、っく、らっ……ゲホゲホ、」
「ちゃか、ごめん。1人にして、ごめん……！」
違う、1人になろうとしたのは俺の方だ。俺が、いつまでも弱いから……
「ごめん、まつく、ら……」
俺を包んでくれる腕にすがって、必死に息を吸う。少しずつ体に酸素が回り始めたとき、俺は松倉の背中が不自然に震えていることに気づいた。
「……泣いて、る？」
俺の肩にぴったりくっついた松倉の頭が、ふるふると横に振られる。すっかりびしょ濡れになった髪が、細かく水滴を落とした。
「顔、上げて？」
まだ少し震える手で、そっと松倉の体を自分から離す。
「……なんで、松倉が泣くの。」
「泣いてねえし……。」
拗ねたように言いながら、松倉はまた新しい涙を流す。
俺をいつも助けてくれるのは、この優しさだ。絶対的な力で守ってくれるような強さじゃなくて、素直な弱さがにじんだ松倉の優しさがいつも俺の呼吸を楽にしてくれる。
「……あ！」
松倉が急に大きな声を出したせいで、緩みかけていた体にまた力が入る。それに気づいた松倉は申し訳なさそうにしながらも、焦ったように俺のリュックに手をかけた。
「ちゃか、薬！」
「あぁ、いいよ。もうだいぶ楽になったから。」
そっか、と言うと、松倉はそれからしばらく黙り込んだ。何か言いたいことがあるときの顔をしていたから、俺も黙って松倉の言葉を待った。
「……俺さ、」
「うん、」
「ちゃかのこと、好きだよ。」
「うん………うん！？」
待ってはいたけれど、待っていた言葉と違う。パニック発作の時とは質の違う動悸がして、軽くめまいがした。
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おさと(プロフ) - もなかさん» もなか様、こんにちは！コメントとっても嬉しいです（ ; ; ）こちらこそ、素敵なリクエストを本当にありがとうございました！！ (9月3日 17時) (
レス) id: e06b49d6d2 (このIDを非表示/違反報告)
もなか(プロフ) - とても素敵なお話をありがとうございました!リクエスト自体初めてであんなざっくりした内容がこんな素敵なお話になるなんて思ってなかったです!キュッとなってホロリとしてホワッと心温まりました。ありがとうございました! (8月30日 22時) (レス) @page14 id: 4ecbc78f68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年8月20日 19時
