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手の中に納まる程度の小さなスマホの画面、それも文字だけの情報に、こんなにも打ちのめされるとは思わなかった。
貧血の中でも、一番治療の難しい貧血。それが、しめの抱える病気らしい。血液が上手く作れなくなって、貧血症状の他に感染症にかかりやすくなったり、出血しやすくなったりする。
今は治療で良くなる人が多いようだけれど、それでも色々なリスクや制約がつきまとう。ただでさえ俺たちの仕事は特殊だ。しめは、今後思った通りの活動を続けられるんだろうか。
こんなに情報のあふれた社会でも、完全に同じような境遇の人を見つけることはできない。そんなことは分かっているのに、俺は隙間時間を見つけてはすがりつくことのできる情報を探すことに必死になっていた。
「…しず、それちょうだい。」
レッスンの休憩時間中もひたすらスマホの画面をスクロールしていた俺の手は、他でもないしめの声でようやく止まった。
「しめも頭痛いの？」
「ちょっとだけ。」
「低気圧ヤバいよなー。」
ねー、とのんびりしたしめの相槌を聞き終える前に、俺は2人の方に駆け寄ってしめの手をつかんでいた。
「ちょっと来て、！」
そのまましめを引っ張って、レッスン室を出る。自販機のそばに来たあたりで、後ろからいら立ち混じりの声が聞こえた。
「ねえ、なに？痛いんだけど。」
不機嫌そうに言いながら、しめが俺の手を振りほどく。そのまま辛そうに顔を顰めると、頭を壁にもたれさせた。
「なに？じゃないでしょ。その薬、どうするつもりだった？」
そう言って、俺はしめの手から小さな箱を抜き取った。市販の頭痛薬。さっき、しめが閑也から受け取った薬だ。
「…だって、このままじゃレッスンに集中できない。」
「具合悪いなら、休むしかないでしょ。」
「違うよ。これ、薬の副作用だし。どうしても頭痛が辛かったら薬飲んでもいいって、先生も言ってた。」
だからいいの、と言い切ると、しめは俺の手から箱を奪い返してレッスン室に戻っていった。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
