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「……俺、今日踊れなくなったんだ。」
傷一つない床に、自分の声が落ちる。部屋の空気が一瞬、ピタッと動きを止めたのが分かった。
「それって……俺のせい？」
「……うぬぼれんなって、言いたいとこだけど。」
そう言って笑って見せようとしたけれど、頬のあたりがひきつって上手くいかない。どうして、こんなに俺の方が冷静でいられなくなるのか。その理由も、本当は自分で分かっていた。
「俺、怖かった。しめは覚えてないかもしれないけど、この前ひどい熱出して点滴受けてた時、お前ずっとうなされてたんだよ。見たことなかった、あんなに苦しそうなの。」
聞いたこともない声だった。言葉になっていない、低くうなるような声。白いこめかみに浮いた汗の粒も、苦しそうに上がったあごも、呼吸の度に大げさなくらい動く細長い首も。記憶の中にあるどのしめの姿とも、重ならなかった。
「……風邪でこんなになるなんて、信じられなかった。しめがいなくなるとかあり得ないことだってどこかで思ってたけど、初めて“有ること”なのかもしれないって思った。」
こんなこと、本人に言うのは間違ってる。それを分かっていても本音を垂れ流し続ける俺は、しめに甘えている。
「だから、ごめん。俺は、しめみたいに先のこと考えられない。……先のことなんかどうだっていいから、しめに苦しい思いしてほしくない。」
しめには、生きててほしい。
その言葉を口にした瞬間、喉の奥が熱く苦しくなるのが分かった。そのことを自覚したのと同時に、しめの手が俺の背中に触れる。
「ありがとね。」
俺の背中をさするしめは、穏やかに笑っていた。
「……なんで、俺だけ泣いてんの。バカみたいじゃん。」
「如恵留のおかげで、泣かなくてすんだよ(笑)。」
如恵留と俺は、一緒には泣かないでしょ？
しめのその言葉をなぞっていいなら、少しは分け合えたと思っていいんだろうか。
強くいることだけが、冷静であることだけが、正しいとは限らない。弱さをさらすことで支えることもできると思うのは、やっぱりうぬぼれなんだろうか。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
