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「なんで！？」
俺を見つけたしめの第一声は、それだった。椅子から腰を浮かせながら目を丸くして、それから胸を押さえて少しだけ顔を顰める。
「……よく、わかったね。病院に、いるって。」
「わかるよ、嘘ついてる時のお前の声ってわかりやすいし。」
薬と消毒液の匂いは、前に来た時ほど俺を焦らせなかった。顔色は悪いし肩で息をしているけれど、今しめが目の前にいてきちんと話ができる状態だからかもしれない。
「この前、ごめんね。ほんと助かった。」
風邪なんか、どこでもらっちゃったんだろ。結構予防してたはずなんだけどな。
黒いマスクをつけた顔を大げさに傾けながら、しめは急に饒舌に話し出した。メイクをしていないしめの目はいつも以上に素直で、力のない瞳がゆらゆら揺れている。
「今日は？検査？」
「うん。」
「もう終わった？」
「……うん、」
うん、うん、としめは何度か頷いて、それから窓の外に視線を向けた。
「今ね、待ってるんだ。」
「……何を？」
「輸血の準備、してもらってるの。」
え、と声を出すまでに、ずいぶん時間がかかった。それはきっと、しめの言葉に反応する前に頭が状況を理解してしまったからだと思う。
「……検査の結果、よくなかったの？」
「う〜ん……。なんか、輸血するかどうかギリギリのとこらしいんだけどね。でも、俺がもうきつくて。」
立つだけで心臓バクバクなの、ヤバいっしょ。そう言って笑うしめの唇の端は、仕事の時と同じようにきれいな角度で上がっていた。
「……でも、やっぱり迷うな。」
「え、？」
「今日、輸血したら楽になるかもしれないけど。でも、しんどくなったらまた同じように輸血するとか、もしそういうのが何回も続いたら、今までみたいに薬飲むだけで治療するっていうのはできなくなるんだって。入院したり、あの……移植、とか。そういうの、考えなきゃいけなくなるって。それなら俺、もう少し我慢した方がいいのかな。」
腕を組んだまま淡々と話すしめの表情は、とても自分の体のことを話しているようには見えなかった。まるで、グループで打ち合わせをしているときのような。そんな、妙な落ち着きがあった。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
