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「…さすがにさ、言ってもらわなきゃフォローもできねえよ。」
嘆くような松倉の声を聞いた瞬間、思考停止していた頭にようやく血が通い出すのを感じた。
言葉にしてもらわなきゃ、オープンにしてもらわなきゃ、何もわからない。正しい。
でも、人の特性は正しさとは別の場所にある。
自分の思いを言葉にするのに、しめは人一倍時間がかかる方だ。臆病なほど慎重な面がある一方で、時間をかけて出した言葉は揺らぎにくい。そのことを思い出した瞬間、俺は自分が情けなくて仕方がなくなった。
仕事に対してあんなに真剣なしめが、理由もなく遅刻を繰り返すわけがない。
あんなにパフォーマンスにプライドを持っている人が、レッスンを疎かにするわけがない。
昔からそれは変わらないはずなのに、それを信じられなかった自分が悔しい。
「…何年、一緒にいると思ってんだ。」
この声は、きっと誰にも聞こえていない。他には何も言わずに、俺はレッスン室を飛び出した。
「…しめ、！」
その姿は、そう遠くない場所で見つけることが出来た。通路の途中で、力尽きたようにうずくまる小さな背中。キャップを外して顕わになった金髪は、根元が黒くなっている。
「…っ、のえ、る、」
顔を隠すように押し付けていたタオルを外して、しめが俺を見上げる。
その顔を見た瞬間、俺はかけようと思っていた言葉の全てを失った。マスクの下にある顔が、こんなに青白いとは思いもしなかった。ただ事じゃない、という直感は一瞬で確信の域に入ってしまう。
「だい、じょぶ。ちょっと疲れただけ、だから。」
固まってしまった俺を気遣うように、しめが頬を引きつらせる。俺が初めて見る、しめの下手くそな笑顔だった。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
