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薬と、消毒液の匂い。
滅多に感じることのない空気は、余計に俺の気持ちをざわつかせた。待合室として特別にあてがってもらった小さな部屋で、スマホを見ることも読書をすることも1分と続けられない。
マネージャーにも車の中で待っているように再三言われていたし、自分でもこうなることは分かり切っていた。だから、病院についていけばかえって迷惑になることも頭ではわかっていた。
それでも、来てしまった。弱っているしめの姿を１人で思い出してしまうことが、怖かったから。
俺は強がりで見栄っ張りだから、隣に誰かがいれば冷静でいられる自信があった。でも、ついさっきマネージャーが説明を受けに診察室に行ってしまったから、その目論見も今は外れてしまっている。
「……如恵留。」
どうしようもなくなって椅子から立ち上がったとき、静かにドアが開いた。やけに冷静な顔をしたマネージャーは、入り口のそばに立ったままだ。
「しめは？」
「熱が高いから、今点滴してもらってるよ。終わるまでだいぶ時間かかるみたいだから、俺たちはもう帰ろう。」
「え、」
何言ってるんだ、しめのこと置いて帰れるわけない。
そう思った瞬間、それを見透かしたようにマネージャーが口を開いた。
「お前、明日早いでしょ。……それに、しめが言ったの。帰ってほしいって。」
言ってから、少し後悔したように目の前の顔がゆがむ。俺は体を隙間風が吹き抜けるみたいなむなしさを感じながら、それと同時にどこかすんなりと納得してしまっている自分の存在を感じてもいた。
あぁ、そうだろうな、と心の中でつぶやく。弱っているときにつきっきりでそばにいるような、そんな関係性に俺たちはない。ふ、と息を吐くと、少しだけ肩から力が抜けた。
「……じゃあ、帰る前に少しだけ会っていってもいい？」
直接顔を見て一声かけてから帰るくらい、いいだろう。特に深く考えたわけでもなく、俺は単純にそう思った。
それが、数分先の自分を後悔させることになるとは予想もせずに。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
