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「……それって、なんか寂しいな。」
思わず横から口を挟んだ俺に、しめが大きく頷く。
「ごめん。元太が今しんどいのって、めっちゃ俺のせいだと思うんだけど。でも、自分の"辛い”は誰かと比べなくていいんじゃないかなって、俺は思う。」
元太は唇をかんで、それから耐えきれなくなったようにぼろっと涙をこぼした。手のひらですくうように拭うその涙は、きっとさっきまでの涙とは違う温度なんじゃないかと、俺は思った。
それから、元太は泣き疲れて寝てしまった。ベッドまで運んでからキッチンに戻ると、洗い物をしていたしめが俯いて目をつむっていた。
「しめ、もう休んでな。」
お前も無理しすぎ、と言いながら、せめて座るように促すと、しめはまくっていたカーディガンの袖を下ろしながら小さく微笑んだ。
点滴の跡か、点々と残っていた内出血の跡がふわりと柔らかそうな布地で隠れる。
「元太、結構酔ってたね。」
「うん。」
「本音言ってくれたこと、起きたら忘れちゃってたりするのかな？」
「……どうかな。」
「覚えててほしいな。じゃないとまた、1人で自分のこと責めちゃいそうじゃん。」
「……お前も相変わらず優しいね。」
みんな優しいよ、としめがくっきりと言葉を縁取るように言う。俺はただ、その言葉に黙って頷いた。
それからは特に言葉も交わさず、俺は残りの洗い物を片付けた。そういえばしめはまだ苺を食べてないな、と気づいた時、ぺたぺたと足音をたてて元太が起き出してきた。
「あれ、起きて大丈夫なの？」
「うん、もうだいじょぶ。寝たらスッキリした。」
少しきまり悪そうだけれど、さっきの会話の内容をつぶさに覚えているかまではわからない。元太はほんの少しふわふわした足取りでテーブルに近づくと、自分のカバンを肩にかけた。
「もう帰るの？」
「うん。明日も早いから。」
そう言って玄関に向かう元太の顔は、いつもの雰囲気に戻っている。
俺が元太の後を追いかけると、しめもゆっくり俺の後をついてきた。
「元太、がんばれ。俺もがんばるから。いつでも元太の味方でいれるように、早く元気になるから。」
元太は一瞬不思議そうな顔をして、それから照れくさそうに笑って真っ暗な外に出ていった。
「……さてと。苺、食べよっかな。」
泣き笑いの顔で、しめはつぶやくようにそう言った。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
