「変わらないって、変わりたくないって」 ページ13
Side七五三掛
うわ、今日も松松が騒いでるな。
この笑い方は、絶対海人。今日はテンション高そう。
ドアを開ける前から、聞こえる声だけでこんなに色んなことが分かる。それだけで、ちょっと明るい気持ちになる。
「おはよ〜。」
楽屋のドアを開けると、みんながパッと俺の方を見た。おはよーって、バラバラに帰ってくる声。何にも変わらない。
「しめ、昨日どうだった？」
楽屋の鏡の前に座ると、まつくが俺の隣に座った。
「あー、血液検査？なんかね、結構安定してるって。今の薬、効いてるみたいだねって先生も言ってた。」
おお！って、嬉しそうに笑うまつくの顔が目の前の鏡に映る。
ついこの間まで、病気のことをみんなに話したら色んなことが変わっちゃうような気がしていた。もう、普通に接してくれないかもとか。
でも、そんな心配しなくてもよかったんだって、こういう会話をしているとすごく思う。むしろ、俺が病気のことを認めたくないとか、そういう弱い気持ちのせいでなかなか打ち明けられなかっただけなのかもしれない。
「あ、そうだ。しめ、今日インライやらね？」
「マジ？俺も入りたい―。」
まつくの提案に、少し離れた所にいた元太が寄ってくる。俺も「いいね」と言いかけたけれど、それは声に出せなかった。
「あれ、しめ？」
「……ごめん。俺、今日はちょっと」
松松でやりな、と言って、俺は鏡に向き直った。
残念そうな表情をしたまつくの顔が、鏡の中からいなくなる。残ったのは、自分の顔だけ。丸くなった自分の頬っぺたのあたりをなでながら、俺はため息をついた。
「どうしたの？ため息なんかついて。」
「如恵留…。ねえ、俺最近太ったよね？」
「え？」
そうかな、と言いながら、如恵留が俺のことをじっと見てくる。
「しめは、もとが細いからね。」
その一言で、あっさりこの話は終わった。それにほんの少しイライラしている自分がいる。
やっぱりこんなんじゃインライなんかできないな、と思って、俺はまたため息をついた。
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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます！そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります！ (6月20日 20時) (
レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています！ (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます！貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！！ (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます！ (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2023年6月11日 21時
