3話 ページ3
貴方side
あ｢ふぁあ…んー9:30か…3時間。あんまよく寝てない気もするけどいっか。｣
目の前にはギターと紙が無造作に置かれていた。
あ｢楽譜…あ、昨日作ったんだっけ。こう見ると結構適当だなあ…まあいっか１回弾いてみよう。｣
ギターを手に取りチューニングを済まし、私は歌う準備をした。
あ｢よし。歌ってください私の喉!!｣
外で歌うのは…歌うのは久しぶりだな。
歌えるかな。歌いたいな。
あ｢すぅ…｣
あ｢〜〜♪｣
良かったまだ歌えた!やっぱ歌って気持ちがいいね！……でも1人で歌えたとこでなぁ…
あ｢…うん。1日で仕上げたにしてはいいんじゃない?歌詞もしんみりしすぎないようにしたし、メロディーも暗すぎない。…まあこんなの作ったところで見せる予定ないんだけどね。｣
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
あ｢えっ…?｣
人がいる…私人前で歌っちゃったんだ…
どうしよう。また言われちゃう。
奏｢あ、ごめんなさい…勝手に聞いちゃって。…素敵な歌だね。貴方が作ったの?｣
あ｢ごめんなさい!こんなお粗末な歌…?素敵な歌?｣
奏｢うん。とても素敵な歌だよ。ギターの音色と歌詞があってる。それに何より歌声が透き通ってて引き込まれた。｣
あ｢そんなことないですよ。でも聞いてくれてありがとうございます。昨日の思いつきなのでまだ未完成ですけど。そう言ってくれて嬉しいです。｣
奏｢そうなんだ。うん、すごく素敵で暖かいと思う。…ねえ、他の曲はないの?もう少し聞いてみたくて。｣
あ｢あるにはあるんですけど…｣
あるにはあったけど…もうないからなぁ
奏｢…?｣
あ｢あ、いえ、未完成なものばっかで聞かせられるようなもんじゃないので。｣
奏｢そっか。…貴方はいつもここで歌っているの?｣
あ｢いや今日東京に来たばっかで…それにいつもネットカフェにいるし…だから歌ったのは久しぶりかなって｣
奏｢ネットカフェ…｣
あ｢うん。私家がないんだ。｣
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作者名：欒 | 作成日時：2021年11月29日 5時
