優しいことは良いことだけど ページ4
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「……では、そろそろ」
そう言ってAは立ち上がった。
「え?」
「…?」
「…何処に行くんだ?」
「どこ…かは、わからないですけど、」
目を逸らしたA。
「…これからのこと、全く計画立てていないだろう」
「ぅ」
「これからも野宿でもするつもりか?食費はどうする?3万円じゃ底をつくぞ」
「…」
「それにまたあんな男に絡まれるかもしれない。今日はたまたま俺が助けることができたが、次からはできないかもしれない」
「はい…」
しゅんとした様子のA。
…小動物みたいだな。
「だから」
「…?」
「今日から家に住もう!!」
「……はい?」
理解できてない様子だった。
何でだろう、そんなにわかりにくいかな?
「今日から、俺の家に、住もう」
「…なん、で、」
「なんでって…そうしないと君、死んじゃうぞ?」
首を傾げると、Aも首を傾げた。
「…でも、迷惑じゃないですか」
「迷惑じゃないぞ!」
「いや、完全に迷惑ですよ」
「俺が迷惑じゃないと言っている!!」
「…から、迷惑じゃないぞ?」
いきなり大声を出してしまった自分に照れつつ、笑いかける。
すると、Aは「ふふっ」と笑い出した。
「…変な、人ですね」
「あ、もちろんいい意味で、です」そう付け足されたけど、…いい意味で変な人って何だろう。
「…でも、やっぱりお邪魔できないです」
「…?なんでそんなに遠慮するんだ」
「貰うには、それ相応の物をあげないといけないから」
そう言われてきたんです、彼女は真顔でそんなことをぽつりと呟いた。
…お母さんの、教育か。
「優しい」ことは良いことだけど、それで自分の気持ちを押し包めてしまっている。
「…そうだ!」
ぱんと手を叩くと、Aは不思議そうにこっちを見た。
「貰うにはそれ相応の物を、だろう?
それなら、俺も貰おう!」
「な、何を?」
「俺の家に住み込みで、家事をしてほしい!」
そう言って笑うと、Aはきょとんとした。
「…あ、家事苦手だったか?」
「いえ、できます、けど…」
「最近、仕事が忙しくて家事をあまりできていないんだ。だから料理とか洗濯とかをしていてほしいんだが…駄目か?」
Aの大きな瞳を見つめながら問うと、彼女は小さく首を横に振った。
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らんま - リクエストです!!夢主と喧嘩するけどすぐ仲直りする話が見たいです! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 8f0cba522e (このIDを非表示/違反報告)
豆腐 - この物語結構自分好みで毎回見させてもらってます!リクエストの事なんですけど、やっぱり作品名が『しぬまできすを。』なのでキスはした方が合っていると思います! (2020年4月4日 23時) (レス) id: 70333e6632 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - リクエストに応えていただき有難うございますm(_ _)m読みました!私の想像を遥かに越える素敵な作品に!しかも一緒に寝るまで。ほくほくな気持ちで一杯です。本当に有難うございました(*^^*) (2020年4月2日 22時) (レス) id: e3d4a15806 (このIDを非表示/違反報告)
いしい(プロフ) - 佐藤もあさん» ありがとうございますすすすっ…炭治郎も夢主ちゃんも可愛くて混乱しました:)私はすごくとても満足したよう。こちらこそありがとう〜〜! (2020年4月2日 21時) (レス) id: 335b9bb40b (このIDを非表示/違反報告)
佐藤もあ(プロフ) - いしいさん» リクエストのお話、書きました!こんなのでよかったかな、まだあんまり納得いってないので今度またリベンジさせてください…!リクエスト本当にありがとう!! (2020年4月2日 18時) (レス) id: 6a67217fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤もあ | 作成日時:2020年3月16日 0時