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「…にしてもさ」



「ん」









「……雨、じゃん?」


「雨だな」









ザアアアアアアアア、降り頻る雨。




ガレージの閉まった店の前で、2人座り込む。









「はあああああ、何で雨なんだよ…」


「傘持ってる?」

「この手の中にあると思うか?」


「ごめん聞いた私が馬鹿だった」








「…まあ私は持ってるんだけどね!」






えっへんと胸を張りながらバッグの中の折り畳み傘を取り出すと、秒で奪い去られた。





「あっちょっと!?」


「お前俺のせこむなんだろ、俺を雨から守れ」



「……あー、それもそうか。うん。
じゃあ伊之助はそれ差して帰ってね!風邪ひかないように!」

「あっ、ちょ、待てよお前!?」








濡れることを覚悟して屋根の外に飛び出そうとすると、ぐいっとバッグの持ち手の部分を引っ張られた。








「どうしたの、…あ、その傘の柄が花柄だから不満?
でもごめんね、私それしか持ってないし…というか花柄傘さしてるヤンキーってすごくいいと思う頑張ってね!」


「は?」





「痛い痛い!!頭蓋骨割れちゃう!!」









「…お前、馬鹿だろ」


やっと私の頭から手を離した伊之助は、傷だらけの顔で蔑むように見てきた。









「…俺が雌を濡らして帰らせる訳ねぇだろ」


「…?」



「…ア”ーッ、もう!
一緒に帰るぞって言ってんだよ!!!」








ぐいっと肩を抱かれて、いつの間にか開いていた傘の中に入れられる。




…え、なにこれ、相合傘っ、?







「…お前んち、こっからどんくらいだよ」


「え?
…えーっと、10分くらい…かな」


「ん、俺んちより近いな。邪魔するぞ」




「はっ!?」









「…何でそんなに離れんだよ、濡れるぞ」




今度は腰を抱かれて、体が密着する。







待って待って待ってめっちゃ伊之助の匂いするし筋肉が目の前だよハ!?









顔が真っ赤になっているのを承知しながら、今日雨が降っていたことに少し感謝した。









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圧倒的顔面の差→←やめてよ野良猫ちゃん



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- 天才じゃん!伊之助愛ラブの私からすると神作品以上だわ。 (2022年5月24日 23時) (レス) @page29 id: 8b8f592efb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます!大好きな作品だったので本当に楽しみながら読んでました…!これからも体調等崩さずに頑張ってください┏〇゛ (2020年3月16日 9時) (レス) id: b440812837 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤もあ(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!頑張ります! (2020年3月8日 13時) (レス) id: 6a67217fdd (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年3月7日 17時) (レス) id: e71ef0b1ca (このIDを非表示/違反報告)
佐藤もあ(プロフ) - 素良さん» ありがとうございます!ちょこちょこ書き進めていくので楽しみにしてもらえたら嬉しいです…! (2020年3月5日 20時) (レス) id: 6a67217fdd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐藤もあ | 作成日時:2020年3月3日 18時

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