妖、故に輪廻転生 (ページ1)

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第一話【双星九朗】ページ1

「妖童」。

「人」は俺たちのことをこう呼ぶ。

俺たちの容姿が異なること、人間の理論では説明できない不思議な術を擁すること。

それらを恐れた彼らは、俺たちを忌み恐れを抱き、ここ「社」に俺たちを閉じ込めることで我が身を安心させることにした。

「……本当のことなんて、何も分かってないくせにな」

ひらり、着物の裾を翻す。

そこには瑠璃色の自慢の羽が、月の光に照らされてきらきらと光を帯びていた。

相反し、闇を宿した冷たい瞳で村を見降ろす。ぽつりぽつりと点いた仄かな灯りに、「チッ」と小さく舌打ちした。

ふわり、もう一段高く浮遊してみようとしたが、絹の糸のように細い糸の結界が光の反射によって見えてしまい、諦めて下に降りることにした。

攻撃を跳ね返す結界は、触れただけでもかすり傷を負う可能性がある。余計な怪我はしたくない。

しゅるりと引っ込んでいった羽。呼応するように、衣装も人間染みたものに戻っていく。ふと自分の手のひらに視線を落とし、落胆にも似た深い溜息を吐いた。

正直なことを言わせてもらうと、自分が元々妖怪であったことは覚えていなかった。木の枝に引っかかった子供の毬を取ろうと背を伸ばした時、ふいに身体が軽くなった気がした。気が付いた時には、空を飛んでいた。

それが俺が自分自身が妖童であると知ったきっかけであり、この「牢獄」にぶち込まれた理由。

自分ももしかすれば妖童であるかもしれないというのに、ここに俺たちを捨てていく「人間」たちが、俺にはかなり滑稽に見えた。それと同時に、「いつか滅んでしまえばいい」という嫌悪さえも抱くようになった。

まぁ、ここにいる限りは自分は何も出来はしないが。

自虐的に笑い、社にある鳥居の方へすいっと視線を滑らせた。

「……また、連れてこられたか」

そっと、彼らを睨みつけて。