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変わるもの ページ3

A「あっ…洋平…!」

水「A…??」

バイトの帰り道、見慣れた後ろ姿に声をかける。

A「なんか怪我してない??」

水「ん?あぁ、これなあ…」

A「とぼけないで!また喧嘩でもしたんでしょ。」

水「ハハっ、Aは何でもわかるのな。」

そう言って戯ける彼。こんな様子をいつも側で見守ってきた。
でも今日はいつもより怪我が多い気がする。
ハンカチで口元を拭う。

A「もう。あんまり無茶しないでよね…。」

水「っつ…!!」

A「痛かった?!ごめん…。」

水「悪りぃ悪りぃ、いつも手当てしてくれてありがとな。」

洋平はよく怪我をしてくる。
喧嘩は強いみたいだけど…
中学の頃からよくこうやって、お節介を焼く私に
彼は、いつもありがとうと言ってくれる。

水「そういや、Aはいつも俺が怪我すると、こうやって手当てしてくれるよな。」

A「だって痛そうだし…放っとけないんだもん。」

水「そーゆー、優しいところは変わんねぇな。昔っから。」

A「洋平だって喧嘩ばかりするところとか変わらないじゃん。後…。」

水「ん?」

A「私への態度が優しいところとか…変わらないよね。」

俯き気味で伝える。
洋平は小さい頃からずっと私に優しかった。
やんちゃなところもあったけど、私がいじめられていると決まってた助けてくれたのは洋平だった。

そんなことを考えてると、すっと私の上に洋平の手が重なる。
少し驚いて洋平の方を見ると、何かを察したような笑みを向けてきた。

水「俺よく喧嘩して怪我するし、テストは赤点だし、停学中にパチンコ行ったりするけどよ。」

A「??」

水「こんなロクでもない俺でも、Aはいいのか?」

そんな事ないよ。洋平にはいいところがたくさんある事を知ってるから私は…

A「…私は、それでも…洋平の事が…」

水「待て、その先は俺から言いてぇんだけど。」

A「え…?」

こちらに向き直り、いつもとはまた少し違う、真剣な眼差しで見つめてくる彼。

水「ガキの頃からずっとAの事が好きだった。これからは恋人として、隣にいてくれねぇか?」

A「洋平…っ…、嬉しい。私の方こそ、よろしくお願いします…!」

照れ臭そうにハハッとハニかみながら笑う彼は昔と何にも変わらない、幼い表情だったけど
スッと2人で立ち上がった時に見た彼は

私より背が高くて、大人な横顔をしてた。

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作者名:さちまる | 作成日時:2022年3月23日 4時

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