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「地面染み込んじゃって、火薬は作れなさそう」
「え、じゃあ戦えないの?」
「いや、ちょっとした作戦思いついた。俺の足元、砂鉄敷いたでしょ。 そこに、電流をビリッとお願いできます?」
「うん! ありったけの電気流しちゃう!」
いつの間に配置していたんだろう。でも、showの能力も中々特殊で、応用の幅が広いのだとか。showの立っていた場所に手をかざしながら、ちょっと考える。
集中。さっきと同じイメージを、そのまま今度は地面に。いや、地面じゃない。showがかき集め、練り合わせた砂鉄へ。
力を、道しるべに乗せて。
「!!」
「お、速くなった」
地面を這うように電気が流れていく。砂鉄に導かれ、機械に向かって行った電流は、機械を次々とショートさせていく。今度は、手のひらは痛くない。握って、開いて、確かな感覚を噛み締める。
機械の唸る音に気づけなかった。
「ちゃみん!」
正面にshowと、その向こう側には砲口を向けた機械。早撃ちの要領で、showが銃声を炸裂させた。剥き出しの基盤を撃ち抜かれ、損傷を訴える。アラーム音がうるさい。砲口から放たれたのは、銃弾ではなくエネルギービームだった。
「ぐっ!」
咄嗟に視界を腕で庇う。真横に着弾した気がする。恐る恐る腕を退けると、膝をついたshowの姿。ビームは腕を掠め、裂傷を残す。
その光景が、とてつもなく恐ろしかった。
「しょうやん!!!」
「逃げろ!!」
エネルギーが込められていく。砲口が怪しく光る。その気持ちの悪い光を、私たちに向けないで。showが腕を抑えている。血が雨に流されていく。
雷が弾けた。
「……ちゃみん?」
ざあざあ、雨の音。混じり気のない音。showに傷を負わせた機械は、もうその姿を消していた。いや、消したのではない。
その圧倒的な雷の力で焼き尽くされ、消されたのだ。
力の主は、地面に項垂れ眠っている。
「…無事でよかった」
痛む腕を何とか抑え、あちゃみを背負う。まだ電気が残っていたのか、こちらにも伝わってきた。純度の高い雷。
彼女はきっと、その力を自分の中に落とし込めることが出来ているのだ。
眠るあちゃみが落ちないように抱え直して、拠点へと足を急いだ。
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作者名:さくら大福 | 作成日時:2021年1月21日 13時