【実況者】恋愛恐怖症3【ky】

Part122 ページ27

ーー本格的に実況活動に専念することを決めてからというもの、だいぶ生活が楽になった。




朝は前より余裕を持って起きられるようになったし
朝から晩まで編集に追われるということも無くなった。
その分だらけた生活をしているようで罪悪感はあったが、自分の力で稼いだお金だけで生活をしているということについては前より良いと感じていた。




なるべくだらけた生活をしないようにしようと
起きてからは必ずパジャマから着替え、一日を過ごすようにしている。
いくら家からほとんど出ないと言っても
パジャマのまま1日過ごしていては心も体も怠けてしまいそうだから。




ーーーと言うのは建前だ。
本当の理由は、定期的にやってくる「とある日」の為である。




ピンポーン。



時計を見ると17時。
朝から着替えや歯磨きなどを済ませ、髪を整えて軽くメイクをした状態で動画編集をしていると
家のチャイムが鳴った。



今日は「とある日」だ。
私はパソコンを開いたまま玄関へ向かう。
扉を開けると、思った通りの人が立っていた。




『こんばんは、キヨさん。』
「どーも。動画撮ってなかった？」
マスクをつけニット帽を被ったキヨさんが買い物袋を下げて立っている。




以前わたしが食事をろくに摂らずに入院沙汰になってからというもの
兄を筆頭に4人からの私への対応がかなり過保護になった。
兄は毎日「飯食ったか？」と連絡してくるようになり
レトルトさんはゴッド会員になったという出前サイトで出前をとるたびに「Aちゃん何食べる」と連絡が来るようになった。(お断りはしているけれどたまに食べ物が届いたりする)
ガッチさんは私の動画投稿のお知らせツイートに「ご飯食べたあ？」とたまにリプライをするようになり
キヨさんはこうして週に1、2回のペースで
一緒にご飯を食べようと、私の家に食材を持ってやってくるようになった。




キヨさんがうちに来るのは、決まって月曜日か木曜日。(両方来る時もある)
その日は動画をお休みしている日らしい。
キヨさんが何時に来てもいいように身なりを少しでも整えておくというクセがついてしまったのだ。




「今日親子丼で良いんだよね」
『はい！今日も食材ありがとうございます』
こうやってキヨさんが買ってきてくれた食材で私がご飯を作る。
これが私にとって特別な日になっていた。

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