わたしの思いつき (ページ9)

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「…いるよ。」

JN「えー！すごい！

その人どんな人なの？」

目の前にいるあなたですよ、なんて言えたら楽なのにね。

もし言ってしまったら、この関係がなくなってしまうんじゃないかって恐いから言えないんだ。

「教えなーい。」

JN「えーなんで？」

「なんでも。」

JN「いいじゃん、ちょっとだけだから。」

「ちょっとだけでもやだ。」

JN「じゃあ、僕が教えたら教えてくれる？」

「…え？

ジュニ、好きな人いるの？」

JN「うーん…

いまのAの話聞いてたら当てはまる人いたから、多分好きなんだと思う。」

衝撃だった。

まさかあのド天然で人見知りな彼にもそんな人がいたなんて。

まあ、学校ではクラスも違うしずっとジュニを見れるわけではないからわたしの知らないことが多いのは当然だ。

そう思ったら急に虚無感に襲われた。

慕ってくれることをいいことに、わたしは彼にだいぶ依存していたのかもしれない。

JN「…A？」

「あっ、えっと、よかったじゃん！

ずっと恋してみたいって言ってたもんね。

なんか嬉しいな、親みたいな気持ち！」

JN「親って、同い年じゃん(笑)」

はじめてだな、ジュニの天然がかわいく思えないなんて。

勝手に恋して、勝手にじぶんだけ特別って思ってたわたしがいけないのに。

「応援するよ！

その子のことちゃんと幸せにしてあげてね？」

JN「Aまって、」

「ほら、もう寒くなってきたから家帰ろ？」

JN「…うん。またね。」

ジュニの話を遮っちゃったのもはじめてだ。

こうやって家の前で話すのもこれが最後になるのかもしれない、って思ったら泣きそうになったから思わず。

なのに彼はやっぱり鈍感でまたね、なんて手を振ってくるから。

じぶんの部屋に駆け上がって思いっきりベッドにダイブする。

「はぁ…なんでわたし泣いてるの。」

家に帰ってからもカトクで電話したこととか、テスト期間になる度に親に内緒でわたしの部屋で勉強したこととか、じぶんの部屋に彼との思い出が詰まりすぎていて余計に苦しい。

できることなら彼との記憶を全て忘れたい。

それか好きになった当時のわたしに言ってあげたい、ジュニとは両想いにはなれないよって。

夜ご飯も食べる気になれなくて、気を紛らわすために模様替えも兼ねて部屋の掃除をした。