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デートって、きっと最初からここに連れて来てくれるつもりだっんだと今更気付く。
そういえば信号待ちの度にスマホを確認してた。
ナビでも見てたのかな。
私はこんな事してもらえるような立場じゃないのに。
申し訳ない気持ちになるものの、部屋に運ばれてきた料理は昼間とは思えないくらい豪華で。
味は文句なしに美味しくて、自然と顔が綻んでしまう。
「…美味い？」
「え？うん、凄く美味しい」
「相変わらず幸せそうに食べるな」
「…そう？」
「…うん、可愛い」
目の前の忠義くんは驚くほど優しい顔で笑った。
「エステ出来るコースやねんて。行ってくれば？」
「へ？エステ？」
「俺は部屋で待ってるから」
「…本当、何これ？」
箸を止めて困り果てる私に、忠義くんは笑顔を浮かべたまま。
「何って、休憩やって」
「ちょっと休憩、で気軽にエステは出来ないからね」
「めっちゃラッキーやん」
「…もう！」
笑い声を上げて、いつの間にか自分の分を食べ終えた忠義くんがんーと伸びをした。
そのままごろんと寝転がる。
「…疲れてる？」
「ん？まぁ疲れてないとは言わんけど」
「…なんかごめんね」
「なんで謝るん？」
「…彼女でもないのに」
「ほな彼女に戻ったらええやん」
寝転んでしまったから顔も見えないし、冗談なのか本気なのかもわからなくて。
……違う。
本当は冗談のように言ってるだけで忠義くんの気持ちは、わかってる。
いつも私に向けられる目から溢れる気持ちはあの頃と何も変わらなくて、痛いほど伝わってる。
だから少し油断したら、うっかりうんと返してしまいそうで。
「…何言ってんの」
ただそれだけ口にするのが精一杯だった。
「…ほんまにエステ行ってきてええからな。ごめん…俺、ちょっと寝るわ」
忠義くんもそれ以上は何も言わなかった。
疲れてないとは言わないんじゃなくて。本当は凄く疲れてるんだろう。
あっという間にに小さな寝息が聞こえてきた。
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年8月16日 20時
