2.(side T.O) ページ45
だんだんと力が抜けていくAから漏れる、久しぶりの甘い声。
辿り着いたそこから溢れる蜜が指に絡みついた。
「…口ばっかやな」
「…んっ、ほんと、待って…っ」
「…もう散々待ったわ」
俺の禁欲生活、舐めたらアカンで。
簡単にはベッドから出してやれへんと思うから、覚悟してな?
俺もまだまだ若いなぁ、なんて隣でくたっと俺に体を預けるAの頭を撫でた。
久しぶりやから?
控えめに言うてめっちゃ良かった。
…ちゃうよな。Aやからやんな。
ほんまの事言うたら、我慢する必要なんてなかってん。
でもそれはやっぱり違う気がして。
変な意地やったのかもしらんけど、自分でも偉いなって思うわ。
何より、もしほかの誰を抱いたとしても、きっとこんな風に心まで満たしてくれるのはAだけなんやろな。
それにしても今何時やろ?
起き抜けにイチャイチャしてたから、さすがに喉も乾いたし、腹も減ってきた。
まどろむAを少し移動させて、ベッドから起き上がる。
ウォーターサーバーからコップいっぱいに水を注いで、一気に流し込んだ。
もう一度水を注いで、ベッドへ戻る。
「飲む?」
「うん、ありがと」
Aは差し出されたコップを見て、気怠そうにゆっくりと体を起こした。
別に俺はええけど、服着てへんの忘れてるやろ。
「…何?まだ足りひんの?」
その言葉に動きを止めて、俺の視線を追うように露わになっとる自分の胸元に視線を下げて。
眠そうやった目ん玉を飛び出しそうにしながら、ぎゃっと声を上げて布団を引き上げた。
ぎゃってなんやねん。
さっきまであんなにやらしく乱れてたのに、急に色気ないやん。
思わず笑う俺を恨めしそうに見上げてくる。
「そっかぁ、まだ足りひんのかぁ。も〜、どんだけ俺のこと欲しいねん」
「……それはまぁ…出来るだけ…欲しい、けど」
笑いながら冗談のつもりで言うのに、予想外にもAが困ったように呟くから。
俺の方も一瞬固まってもうた。
「………やば」
急にそんな事言うんは反則やろ。
可愛い言葉に自然と頬が緩んでしまう。
ベッドに腰を下ろしてAを抱き寄せた。
「ほなその前に体力回復しとかんとなぁ。腹減ったし、なんか食べよ」
「ん〜…今はなんか作るの面倒かも…」
「んふ、久しぶりやもんな。しんどいん?寝ててええよ?適当になんか作るわ」
「…じゃあ、久しぶりに忠義くんの作ったパスタが食べたい」
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作者名:咲菜 | 作成日時:2022年8月16日 20時