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2人の言葉が胸にじんわりと広がっていく。
本当にすっかり弱くなった涙腺が、あっという間に涙を誘う。
勝手に溢れ出る涙に、しげるくんがすかさずハンカチを差し出してくれた。
「ますます好青年になってる…！」
「わ、しげのせいでますます泣いちゃったじゃん！」
「え？なんで？俺のせい？」
困った顔して3人が顔を見合わせる。
そしてクスクスと笑い出した。
「いつからそんなに泣き虫になっちゃったんですか？」
「…多分年のせい」
「なんでも年のせいにしないでください」
「ほら、泣くとメイク崩れますから」
「美味しもの食べて、落ち着きましょ？ここのランチ、おススメですよ？」
みかちゃんが呆れながら呟いた。
ハンカチは返せるかわからないから受け取らずにいると、しげるくんが手を伸ばして優しく頬を拭ってくれる。
ゆみちゃんがはい、とメニューを広げてくれる。
どっちが年上かわからない状態に、私もプッと吹き出してしまった。
「…じゃあ…せっかくだから食べよっかな。何にしようかなぁ」
泣きながら笑う私はきっと凄い顔してるんだろうけど、気にせずメニューを覗き込む。
みんなでわいわいとメニューを決めていたら、そのうちに涙も止まった。
先に運ばれてきたサラダに掛かってるドレッシングがあまりにも美味しすぎて、何が入ってるのか真剣に考えてしまう。
「…Aさん、今、ドレッシング何が入ってるか考えてたでしょ？
「わ、なんでわかったの？」
「そんな真剣な顔でサラダ見つめてたらわかりますって」
「わー、ごめん。だって凄い美味しくて」
「Aさんらしいからいいんですけど」
「俺さぁ、店で料理作ってる時のAさん好き」
「わかる。幸せそうだよね」
「好きって…そんな直球な」
「いやいや、変な意味じゃないですからね！」
「わかってるよ。こんなオバちゃん捕まえて、変な意味だったら困るでしょ」
「いやぁ？しげはこないだAさんなら「わ！みかさん、ちょっと余計な事言わないで！」イケるって言ってたし」
「…言わないでって言ってんのに」
「…どんな話してんの」
「飲んでたんです。めっちゃ酔っ払ってたんですって」
「酔ったら襲われる可能性があるって事？」
「違いますよ！もう本当やめてください！」
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年7月3日 18時
