好きになってもいいですか？3(緑) (ページ19)

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118.(side T.O) ページ19

しばらくやり切れへん気持ちで待ってると、ようやくAが帰って来た。

ただいま、と俺を見上げて罰が悪そうな顔をする。

確かにまだ顔色が悪い。

「…ごめん」

力任せにAを抱き締めた。

「忠義くん…苦しい……」

「うん。ちょっと我慢して」

俺の言葉に大人しく抱き締められとるA。

遠慮がちに背中に回る手。

「…私こそごめんね」

謝る事なんて何１つないのに、なんとか聞こえるような力の無い声で、Aが呟いた。

ほんまはいつまでも抱き締めていたかったけど、Aが辛いやろなと、しばらくして腕の力を緩めた。

手を引いてソファに座らせる。

Aの好きな紅茶を淹れると、ありがとうとそれに口を付けて、Aが息をつく。

それから隣にいる俺の手をぎゅっと握りしめて、ポツリと店で受けている嫌がらせについて話してくれた。

「…私の勘違いかもしれないけど。こういうの慣れてなくって……情けないね」

そして自嘲気味に笑顔を浮かべる。

普通に生活しとったら嫌がらせなんてそうそう受けるもんやない。

慣れてるわけなんてないし、情けなくなる必要なんて何処にもない。

せやからそんな痛々しい顔で、無理に笑わんといて。

「…しばらく店休むわけにはいかんの？」

Aにとって店が大事なんはよくわかってる。

でもこんな弱ってる時に無理に働く必要なんてない。

俺もおるし頼って欲しい。

何より身体を壊してもうたら、それこそもう大事な店を開けれなくなってしまう。

「そうだね…そうしようかな」

意を決して言うてみたら、すんなりと受け入れてくれて少しほっとする。

その反面、もうきっと限界やったんやなと胸が痛くなる。

なんで気付いてやれへんかったんやろ。

好きな女1人守ってやれへん上に、原因が俺って…。

俺こそ情けなさ過ぎるわ。

「…ほんまごめんな」

謝ってもどうにもならんもどかしさに、奥歯を噛み締めた。