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どれが正解なのかまるでわからない。
込み上げる不安を掻き消す事はさすがにもう無理そうだ。
天井を仰いで、深い溜息を吐き出した。
それでも店は開かなくちゃいけないから、重い足取りで店に向かう。
3人もコメント欄が閉じてる事くらい気付くだろうし、あのコメントだって見たかもしれない。
きっと心配させてしまっているだろう。
案の定泣きそうな顔をして出勤した女子2人。
しげるくんに至っては、何やら色々調べてくれたらしい。
そんな事出来るのかと関心する私に、開店前、１つの投稿を見せてくれた。
大倉忠義と撮られた女の店はここと書かれている、それ。
「Aさん、これ…」
「…うん」
「大倉さんの…」
「…うん」
そのアカウントに登場するのは、いつか見た天使みたいな忠義くんの彼女だった。
これはもう、全部自分の蒔いた種だ。
彼女のいる忠義くんと体を重ねて、奪うように付き合い出したのは紛れもなく私で。それに彼女は気付いていたんだろう。
そこにどんな理由や気持ちがあろうと、非があるのは私でしかなかった。
勝手に漏れそうになる溜息をなんとか飲み込んだ。
「…さ、お店開けるよ。そんな顔してるとお客さん逃げちゃうよー」
私まで不安な顔するわけにはいかない。
精一杯微笑むと、3人は顔を見合わせて頷いた。
店を開いてしばらくすると電話が鳴り出した。
近くにいたゆみちゃんが迷わずに受話器を手に取った。でもすぐに困った様子で私に視線を寄越してくる。
何度かもしもしと声を掛けるけど応答がないのか受話器を置いて、首を傾げた。
「どうしたの？」
「間違い…ですかね？なんにも言わずに切れちゃいました」
「…そっか」
ゆみちゃんの言う通り間違いであって欲しいけど、嫌な予感が頭に浮かぶ。
案の定、その後も度々何も言わずに電話が切れてしまう事があって、さすがに間違いだとは思えなかった。
嫌がらせ、なのかもしれない。
3人の表情が少しずつ曇っていく。
これ以上3人を不安にさせたくなくて、何事もなかったように明るく振る舞う。
いつも通りに営業して、いつも通りにお店を閉めて、お疲れ様でしたとまた少し沈んだ顔になってしまったみんなを笑顔で見送った。
そんな中、追い討ちを掛けるように電話の音が鳴り始めた。
また嫌がらせの電話かもしれない。そうじゃないかもしれない。
恐る恐る受話器に手を伸ばした。
「……お待たせいたしました」
「………」
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年7月3日 18時
