好きになってもいいですか？2(緑) (ページ49)

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ぎゅっと抱きつき返すと、んふふ、とご機嫌な笑い声。

「みなさんに囲まれてご機嫌な忠義くん見るのも楽しかったな」

「俺のことめっちゃ好きやもんな」

「うん、めっちゃ好きー」

「もー、可愛いなぁ」

随分慣れた忠義くんちの大きなベッド。

広いからこんなにくっつかなくても良いんだけど、アルコールの力も手伝って2人して笑いながら隙間なんてどこにもないくらいに密着する。

「Aー」

「なーにー？」

「みんなに紹介してもうたからー。もう逃げられへんでー？」

だんだんと眠くなってきたのか、忠義くんの口調がのんびりと緩やかに、小さくなっていく。

もう寝れば良いのに、と思いつつもその様子が可愛くてつい返事をしてしまう。

「忠義くんのお許しがあるうちは逃げも隠れもしないから安心して？」

現実的な事を言うと、アパートを解約する事はいつきさんに伝えてしまったし、近いうちに私が帰る所はここしかなくなる。

だから例えみんなに紹介されなくても、逃げるつもりはない…というかどこにも逃げられないんだけど。

気持ちの上でも、もうとっくに忠義くんから逃げられなくなってる事、知ってる癖に。

「んふ、ほな一生逃げられへんわ」

今にも寝そうな声の忠義くんからとんでもない爆弾発言が飛んできて、私の方は一気に眠気が遠のいた。

一生側にいたいとか、一生離さないとか、そんな不確かなものに縋るような年齢ではないし、ましてや相手はトップアイドル。

今にも寝そうな事も、酔っている事も承知してる。

だけど忠義くんはいつだって無意識に、私の心を掴んで離さない。

この人はどこまで私を夢中にさせたら満足するんだろう。

しかも人の眠気は吹き飛ばしておいて、自分はさっさと眠ってしまったらしい。

私を抱きしめていた腕の力が緩んだ。

「…じゃあ私が離れる事、一生許さないでね」

私も酔っ払ってるせいにして、眠ってしまった忠義くんには届かない独り言。

その不確かなものに夢を見る年じゃなくなってしまったはずなのに、それでもあなたとの一生を夢見てしまうから、忠義くんは本当にズルいんだ。