95.(side T.O) ページ46
どうやらみかちゃんはヤスがタイプなんやな。あんな女の子なとこ初めて見る。
まぁ、でも優しくヤスに笑いかけられたら、普通にときめいてしまうと思うわ。
「ヤス、やめろって。おまえの悪いとこやで」
「え？ええとこやろ？」
「あの子真っ赤やったもんな」
「みかちゃん言うんやて」
「聞こえてたわ。みかちゃんいくつなん？」
「大学生ちゃう？」
「大学生？！わー、みかちゃんにしたら俺らおっさんやな」
ヤスとマルと話してるうちに、ビールが運ばれてきてますます賑やかになる。
俺らしかおらんのに、いつもよりうるさい気がするのは気のせいやろか？
飲んで食べて、途中で凄い飲みますねってみかちゃんも苦笑い。
程よくアルコールが回った頃、信ちゃんがAを呼んだ。
「今日の目的はおまえやねん」
「もう紹介していただきました」
「せやな、けどそしたら貸し切りにした意味ないねん。ワインでも置いといたら適当に飲むやろ。料理もまだ残ってるがな」
「…えー」
「えーちゃうわ。ほれ、みかちゃんもこっち来て。飲める年やろ？」
「…えー」
「なんやねんおまえら！ええから座れ！」
「村上さんこわっ」
みかちゃんが笑いながらAさん座りましょ、こんな機会なかなかないですもん、ってちゃっかりヤスの横に腰を下ろした。
「Aはこっちな」
「あ、うん。ありがとう」
俺と横山くんの間にAを座らせる。
さっきまで散々大笑いしとったくせに、急に大人しくなる横山くん。
「横山くんちょっと人見知り〜の気ぃ遣い〜やから」
「おまえそんな紹介の仕方すんなや！」
「静かやけど照れてるだけやから気にせんといて」
「やめろて！」
「そうなんですか？」
「まぁまぁ、まぁまぁ…まぁ、そんなんちゃいますけど」
「まぁ多っ」
照れる横山くんを、横目にAも小さく笑ってる。
「騒がしくてすんません」
「いえいえ、楽しいです。こちらこそ狭い店ですみません」
「いえいえ」
「…ワイン、注ぎますね」
「…いやいや、自分でできますんで…」
「……ですよね」
「……お店いつからやってはるんですか？」
「あ、えっと…30の時に」
「へぇ、凄いですね。大変やったでしょ？」
「全然！夢だったので、毎日夢中でした」
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年5月10日 17時
