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会える日も時間もそんなに多くはないけど、
忠義くんが店に迎えに来てくれたり、店が終わった後忠義くんの所に帰ったり、少しずつ恋人らしくなっていってると思う。
今日も仕事早く終わるからご飯食べ行くなって連絡が入った。
「あれ?しげるくんおるやん」
いつものようにカウンターに座った忠義くんは、臨時のバイトを終えた後もそのまま働く事になったしげるくんを見て驚いた。
もう随分経つけど、しげるくんに会うの久しぶりだったかな?
「うん、ずっともう1人バイト欲しいなって思ってたから。しげるくん良い子だし仕事出来るしお願いしてみたら、続けたいって言ってくれて」
「…そうなん?」
「男の子いると本当に助かる」
すっかり常連の綺麗なお姉さん方に可愛がられて、ちょっと困ってる時もあるけど。
みかちゃんとゆみちゃんがさり気なくフォローしてる。
笑顔で応対するしげるくんを眺めて言うと、忠義くんがふーんと不満そう。
忠義くんは時々可愛いヤキモチを妬く。
こないだ一緒にテレビ見てたらちょうど好きな俳優さんが出てて夢中になってしまって、気付いた時にはむっとした顔してた。
定期的にある大学の仲良しグループのご飯会に男の子がいるのをやたらと気にしたり、
その前は、朝偶然つけたテレビに丸山さんが出ていて、その話をしたら…まぁ、朝からカッコ良かったとは言っちゃったけど…マルちゃんの事褒め過ぎやでって口を尖らせていた。
だから、きっと今も…。
「ビール、ちょうだい」
決して口には出さないけど、やっぱりむぅっとしながら私を見上げてる。
相変わらず可愛くて、今日も忠義くんはズルい。
「…ふふ」
「何笑てんねん」
「今日も可愛いなぁ、と思って」
答えながらカウンターにビールを置くと、忠義くんは迷わずそれを手を伸ばしてゴクゴクと喉を鳴らす。
昔はヤキモチ妬きの男の人って苦手だと思ってた。
久しぶりの恋で浮かれているのか、年をとったからか…それとも忠義くんだからなのかはわからないけど。
…もしかしたら全部かもしれない。
とにかくそんな小さなヤキモチも、可愛くて嬉しく思う。
相変わらずむっとしたままの忠義くんは、全然嬉しない、と不満そう。
それにまた少し笑ってしまった。
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作者名:咲菜 | 作成日時:2022年5月10日 17時