好きになってもいいですか？(緑) (ページ38)

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連絡先は交換したけど、もちろん私から連絡する事はなかったし、忠義くんからも連絡が来る事はなかった。

彼女の所にちゃんと行ってくれたんだなってちょっとホッとしてる。

だけどそれと同時に、同じくらい寂しい気持ちにもなってしまう。

会いたいような、会いたくないような…。

でも会ってしまってこないだみたいな雰囲気になってしまったら、拒めないかもしれない。

やっぱり連絡なんてない方が良いに決まってる。

「Aさん、Aさん」

開店前の準備中、ダスター片手にカウンターから私を覗き込んだみかちゃん。

「ん？どうしたの？」

顔をあげると眩しいくらいの笑顔を向けられた。

「最近、大倉さんとなんかありましたよね？」

「…は？」

「んもう、水臭いですよ！」

「…へ？」

「…え？」

ニコニコ笑顔のみかちゃんの顔が固まって、あっれ〜？おっかしいなぁと首を傾げてる。

「忠義くん、彼女いるの知ってるよね？」

私は誤魔化すように笑いながら、何度目かわからないその言葉を口にした。

だけど最近は自分で言ったはずの言葉が重くのし掛かる。

「…んー、でも大倉さんはこないだニコニコAさんの事見てましたよ？」

そんな私にみかちゃんはお構いなしにそう言って。

「うん。カウンターから、すごく優しい顔して、Aさんの事、見てました」

近くにいたゆみちゃんも同調した。

確かによく目は合ったしいちいち可愛く笑ってたけど。

「…そんなわけないでしょ」

そう答えるしかない。

忠義くんにとって、あの日は気まぐれで。

ちょっと弱っていた私に甘い時間を提供してくれただけに過ぎない。

だからと言って忠義くんが私で遊んでいるとは思わないから、少しくらい優しい顔になったとしてもおかしくはないと思う。

「…2人してあんだけ甘い雰囲気醸し出しといて無自覚ですか？」

「みか、もうやめなって」

ゆみちゃんがちょっと慌てて、みかちゃんを嗜めた。

今日のみかちゃんは随分突っ込んで聞いてくる。

でもぉ、とゆみちゃんに不満そうな顔を浮かべるみかちゃんが、多少なりとも私の事を心配してくれているのがわかるから。

「…大丈夫、ちゃんと自覚してる」

「…え？」

「でも可愛い彼女いるし、どうにもならないでしょ？2人も内緒にしてね？」

心配してくれてありがと、呟いた。