24.(side T.O) ページ24
「…てゆうか、何見てんの」
ふと、目に止まったいつもはないカウンターの上のDVDプレーヤー。
から流れる俺らのライブ映像。
「みかちゃんのお友達がeighter？さんなんだって。私疎いから見てくださいって渡された」
「…懐かし」
少し古いそれは、まだ7人がおる時のやつで。
呟いた俺にAちゃんが慌てて停止ボタンを押した。
「…ごめん」
「なんで？ええよ？せっかくやし見ようや」
Aちゃんを隣に座らせて、並んで見る小さなDVDプレーヤー。
「どう？カッコええ？」
「うん。忠義くんじゃないみたいだね」
「忠義くんやで」
「村上さんでもないみたい」
「村上さんやで」
「ちょっとカッコいいね」
「ちょっとなん？」
Aちゃんらしいゆる〜い感想に思わず笑ってもうた。
そんで閃いた。
「…なぁ、誰がタイプ？」
俺の質問にAちゃんは画面をしばらく見つめとる。
こんな質問、俺って言うしかないやん？嘘でもそれって優しさやん？
それやのに、この人、って指差したのは、マルちゃんやった。
「…なんでやねん」
ガチやん。ガチのやつやん、それ。
「嘘でも俺って言うところやで」
「じゃあ、忠義くん」
「ぜっんぜん嬉しない」
「もー、自分で聞いたんでしょ？」
呆れ気味のAちゃんが、この人なんて名前？とか聞いてくる。
「…知らんの？」
「村上さんにもいい加減覚えろってよく言われる」
「最初の方に言うてたやろ？」
「…言ってたけど」
「もう忘れたん？」
「…ちょうど見てなかっただけ」
「絶対嘘やん。もー、マルちゃんやで。丸山隆平」
Aちゃんはまた画面に視線を戻して、ちょうど画面に映っとるマルを見て、マルちゃん、と確認するように呟いた。
「うん、マルちゃん。丸山さん。覚えた」
それから画面を見ながらみんなの名前を教えてあげると、Aちゃんは今度村上さんに自慢しよーってめっちゃ笑顔。
みんなの名前を覚えてご満悦なAちゃんが、俺のジョッキが空な事に気づく。
ごめん、て謝ってくるけど休みやのに押しかけてんの俺やし、ええんやけど。
「しかも何にも出してなかった。なんか食べる？」
「ええの？ちょっとお腹空いたけど」
「だよね。なんか作ろっか。そしたら一緒に飲んでもいい？」
「せっかくの休みやし、むしろそうして」
「それで続き見てもいい？」
「マルちゃんの事見ないんやったらええよ」
「それは無理でしょ」
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年4月3日 21時
