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とはいえ、さすがに私も知ってる事はある。
あの時は村上さんしばらくお店に来なくて、当時バイトしていた女の子が教えてくれたから。
それでも久しぶりにいつきさんと顔を出した村上さんはいつもと変わらずガハガハと笑っていた。
だからちょっと安心した。
私はこんなんだからアイドルとしてタレントとしての村上さんの事はよく知らないけど、案外長い付き合いの大事なお客様。
やっぱり悲しい顔は見たくなかったから。
でも、そのうちに５人になると聞いた時、さすがに声を掛けた。
村上さんは嫌な顔１つせず、やっと関ジャニ∞に興味持ったか？って笑ったのをよく覚えている。
それなのに…結局相変わらず名前も覚えてなくて、ごめんなさい。
「っておまえ、忠義くんてどういう事や！」
「……へ？」
「なんかあるんか？アイツ彼女おるやろ？そんなんやめとけって！」
「…ちょっと村上さん？なんか勘違いしてます？」
私の声が届いているのかいないのか。
「だいたい俺らみたいなのと付き合うてたら婚期ますます遅れんで？おまえももうええ年なんやから、遊びで付き合うような男はいらんやろ？」
1人ちょっと大きめな声で、勝手に話を進める村上さん。
勘弁して欲しい。
婚期が遅れるとか、ええ年やからとかさり気なく失礼だし。
確かに婚期は充分遅れてるし、いい年だけど。
「ちょっと村上さん？聞いてます？」
「聞いてるがな！」
「フルネームは止めてって言われただけです」
「…ん？は？」
「初めてお店に来た日、私がフルネームで呼んだから」
「…あぁ、大笑いしとったもんな」
「こないだ可愛い彼女と一緒に来て頂いてます」
「…ほんまか」
「ほんまです」
それならええわ、と今度は1人で勝手に納得している。
「どうでもええけど、仕事せぇよ」
「…ちょうど注文が切れたところです」
「ほんならちょうどええわ。この、今日のおススメパスタくれ」
「いつきさん待たなくていいんですか？」
「急な接待入ってもうたってさっき連絡入った。食うたら帰るわ」
さっきの独り言はそれだろうか。
思い出してつい笑っていると、何笑てんねんってすかさずツッコまれる。
原因はあなたです。メンバーさんも注意するその独り言です。
なんて言ったら村上さんがまたうるさそうだから、心の中で呟いて、パスタを作り始めた。
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作者名：咲菜 | 作成日時：2022年4月3日 21時
