Important Story.3 (短編集)

SB#29(ﾘｸ) ページ33

『えー、A補習なのー？』

｢うん。だから先に帰ってて？｣

『わかったー』

『じゃあねー』

｢また明日ね｣




ひとり、またひとりと人が減っていく教室で

私はひとり、数学の教科書と向き合っていた。









｢あれ？Aなんでいるの？おまえめっちゃ頭いいじゃん｣

｢よくないし(笑)数学だめだめなんだよね｣

｢あー、前言ってたな｣

｢だから受けるの｣

｢じゃあ一緒に帰れるよな？｣

｢はい？｣









超笑顔だし、、、









隣で威圧感満載な笑顔を見せてくるのは石川柊太。

実は彼氏だったりする。









｢柊太、部活は？｣

｢今日はオフ｣

｢ふーん｣

｢ね。一緒に帰ろ？｣

｢仕方ないなぁ｣

｢やったー｣

｢何その棒読み(笑)｣









また笑顔。

愛嬌が良いんです、この子。









｢はーーー終わったーーー！｣

｢ちょ、うるさい｣

｢帰ろ帰ろ｣

｢はいはい｣









｢、、、さむっ｣









無意識に出た声。









｢手袋は？｣

｢家に置いてきちゃった｣

｢ばか？｣

｢うるさい｣









｢、、、なに｣

｢ほら、寒いんだろ？｣

｢もしかして、｣

｢うるせぇな。はやくしろよ｣

｢、、、ありがと｣

｢ん。｣









急に差し出された手。




絡めれば、温もりがつたわってくる。









(寒いはずなのに、顔は熱いんだ)

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