Important Story.3 (短編集)

Ys#1 ページ19

｢風邪ひいた？！｣

｢〈うん。そうみたい〉｣

｢あーわかったわ。今帰るから待っといて｣

｢〈わかった。ごめんね〉｣

｢ええよ｣









慎吾さん達と飲んでたら、かかってきた電話。


どうもAが風邪をひいたらしい。





家から病院まではちょっとあるから、送って欲しいとの事。

幸い俺はまだ酒類を飲んどらんから、行けるには行ける。









｢慎吾さん｣

5｢ん？｣

｢すんません、Aが風邪ひいたみたいで｣

5｢おー、帰ったり｣

｢ありがとうございます｣

5｢ええよ、また今度飲み直そや｣

｢はい｣









あー、なんて優しい先輩なんやろう。









☆☆☆




｢Aー？｣








呼んでも返事はなし。





これは相当キツイやつやな。









｢ほら、帰ってきたで｣

｢んー、哲人｣

｢え、ほんまに大丈夫？｣

｢むりぃぃぃい｣

｢泣きそうやん。熱は？｣

｢8度5分｣

｢うっわ高｣









赤い頬、潤んだ瞳






ベッドにちょこんと座る君を見て、無性に抱きしめたくなった。









｢ごめんなぁ、今朝気づいてやれんくて｣

｢え、ううん。平気って言ったの私だし、｣

｢でも気づいてやれんかったの俺やし｣

｢あ、えっと、｣

｢んーっ！よし、病院行こか！｣









最後にぎゅーと抱きしめて、









マスク越しにキスをした。









(風邪ひきさん)

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