【SERVAMP】末っ子は椿だと思ってた？-2-【男主】

だい59わ “ ハイド ” ページ19

《リヒトside》

クソネズミが泣き崩れる場面で幕が降りた

…なるほどな

これがお前の過去ってわけか

しかし

リ｢お前はどうしようもねえな、クソネズミ｣

隣でキャーキャー喧しいソレに声をかけてから立ち上がる

ロ｢…ぼくのことがわかるの？｣

リ｢ああ。言っただろう。何でもねぇのはてめえだけだと｣

ロ｢待ってよ…何するの？君はもうここから出られないよ？｣

リ｢俺の番だろうが。黙って座れ｣

幕の降りた舞台に上がる

バッ幕を引けばそこにはピアノがあった

ロ｢君は…どうしてピアノを弾くの？｣

なぜ？

リ｢友達と約束して、それを守ると俺自身が決めたからだ。そのためならなんだってする｣

俺には見える

世界中の人が俺の演奏に感動し涙するその顔が

俺には聞こえる

涙が手の甲にぱたりと落ちるその音が

リ｢お前にはねえだろ？｣

ロ｢…想像力？｣

リ｢それによって作られる“理想”だ｣

よし、決めた

弾くのは『エリーゼのために』

さっきの茶番にぴったりの選曲だろ

だと言うのに

ロ｢…リヒト、この曲は嫌だよ。この曲は悲しいよ｣

リ｢悲しいのは曲じゃねぇだろ｣

そう、そのことに気づけ

ロ｢…ぼくなの？………そうだ、本当は｣



『ぼくは』

お前は少年

『私は』

お前は老婆

『ボクは』

お前は花

『オレは』

お前は宇宙



リ｢影(おまえ)は光(おれ)で光(おれ)は影(おまえ)だ｣



『そうか オレは』

そう 本当は



リ｢お前の望む形を想像しろ｣



望めば、何にだってなれたのに



『オレは“何”だ』

『君と一緒にいたかったオレだ』

『君を守りたかったオレだ』

『君の願いを叶えたかったオレだ』

『君に本気で 愛を伝えたかったオレだ』

『どうして、何にもなろうとしなかったのだろう』


リ｢“無法者”？名が廃るな｣


『何をしててでも共にいればよかった』

『俺の、君の欲しいものをまとめて手に入れる理想を』

『なぜ 想像し創造できなかったのか！』



さあ、踏み出せ

そして決して諦めるな

法も人もお前を縛れない

縛れるわけがない

なぜならお前は

リ｢“強欲”の“唯一無二(ロウレス)”。その理想に手を伸ばせ！｣

お前が真に欲しいもの

お前が真に欲しかったものを

リ｢望め！望め！！望め！！！｣

理想を、願いを！

そして個として己を持つといい

そして、忘れるな

お前の名は

俺がつけたお前の名前は



リ｢ ハイド ｣



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