【SERVAMP】末っ子は椿だと思ってた？-2-【男主】

だい58わ わからない ページ18

《ロウレスside》

しばらくして、オフィーリアの銅像が建てられた

“平和の像”と呼ばれるソレ

俺はなんとなくそこにいた

いや、違う

何処に行ったらいいのかわからなかったから

叶うのなら、オレは、レイの傍にいたかった

けれど、レイは呪い子と言われた存在

どんなにオレが愛してる人でも

どんなに普通の人間だったと喚いても

自国は｢あんな呪い子に｣と

敵国は｢アイツが死んだから｣と

だからわからなかった

レイが今

…いや、レイの“体”がどこに埋まっているのか

魂はもう無理だとしても、せめて体の傍にいたかったのにさぁ



そんな毎日を過ごしていた、ある夜

オレの元にオールドチャイルドが現れた

｢だから恋はするなと言った｣という言葉と、緊急案件だという手紙と共に

内容は、あの人を殺すか否か

オレ達の生みの親である、あの人を

どうしてこのタイミングなんだっ！

オレは反対した

もう、大事な人がいなくなるのは嫌だった

もう、もう！！

ロ｢あの人が平和のための尊い犠牲だと？ムリヤリ自分を納得させて？｣

ク｢…オレだって、あいつが嫌いでいってるわけじゃねぇ｣

ふざけるな！！

目の前にある兄さんの胸ぐらを掴んで喚く

犠牲、犠牲、ギセイ…

オフィーリアは国のために

あの人は世界のために

レイは、

………レイは

ロ｢悲劇のヒーロー気取ってんじゃねぇよ！｣

…あれ？

俺は、今、誰の話をしてた？





オレにはわからなかった

なぜ兄さんが｢自分が殺す｣と言ったのか

なにが正しいのか

どうすれば良かったのか

これからどうすれば良いのか

あの時わかったのは





どんな犠牲で得たモノも、すぐに壊れるということだった





オレが帰ったあの国は、平和はなくなっていた

レイの命を奪って戦争を起こした国は、消えていた

ガラリと崩れた像にオレは、初めて“絶望”という感情を自覚した



「大丈夫、悲しくないよ」

「だって誰も、何も生きることに意味なんてないんだから」

「こんなに虚しいのは君だけじゃない｣

「この世のすべて総じて無意味｣

「すべてが無価値のくだらない舞台｣



だってそうじゃないとオカシイじゃないか

そうじゃないと、君が、レイが生きた意味って

…死んだ意味ってナニ？

どさりと座り込む

ああ、出来るのなら今、とても君を抱き締めたい

そしてそのまま君を攫って、どこか遠くに行こう

後悔しても遅いとわかってる

けれど、ああ、戻りたい

そしたら君と、今度こそ───

だい59わ “ ハイド ”→←だい57わ 『死んだのは』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す