後輩が俺に惚れない【五条悟】

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夏油side




夏油「！、びっ…くりした…

まだ帰ってなかったのか悟」



五条「……ん」





Aが休んでいる医務室から出ると


既に真っ暗になった廊下の隅に

悟が小さく丸まって座っていた


まさか悟…３時間こうしてたのか？





五条「…あいつは？」



夏油「あぁ…今目をさましたよ

気分が落ちてはいるが体は大丈夫だ」



五条「…そう」





悟はそれだけ言って立ち上がって

寮の方向に歩き始めた





夏油「え、悟？
Aが起きるの待ってたんだろ？
会わないのか？」





私の言葉に
悟が背を向けたままﾋﾟﾀﾘと立ち止まった


廊下が不気味なほどに静まりかえる





五条「…俺さ…何もできなかったんだ」



夏油「！」



五条「ボタンもろくに押せなかったし
落ち着いて話しかけてやれなかったし

ほんとに…何もできなかった

傑と灰原が来てくれなかったら
俺、あいつのこと死なせてたかもしんない」




悟の体と声が震える




五条「そりゃ…あいつだって誰だって

こんな俺より七海のこと呼ぶし
七海を選ぶよなって思った

…だから…俺が行ったって邪魔なだけだから
行かない」



夏油「悟…」





悟は明らかに自己嫌悪に陥っていた


悟にこれほど自信がないのは初めてだし

何て声をかけるのが正解かわからない





五条「…なぁ傑」



夏油「！、なに」



五条「あいつ何でああなったと思う？」



夏油「え…さあ…私も七海に聞いてみたけど
うまいことはぐらかされて…」



五条「……そっか
やっぱ七海は知ってんだな」





悟の声がさらに暗くなる



たぶん、いや、絶対
今七海の名前は出すべきじゃなかった




今回のことでなんとなくわかったけど


七海が言い淀むほどの何か…

所謂トラウマのようなものが
たぶん彼女のなかにはある



それが私たちに隠されているのは確かで

悟もきっとそれをわかってる



まあでも普通トラウマなんていいたくないよね

喋るのもしんどいだろうし





夏油「…とりあえず

Aに会ってあげてよ悟」



五条「は？だから行かないって、」



夏油「いや、そうじゃなくて

Aが悟を呼んでるんだよ」



五条「………………………は？」



夏油「私、Aに頼まれて
悟を呼びに行くところだったんだ」



五条「おま…それを早く言えよ…」

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