問題児2人と保護者1人。ただし最強。

弐拾話 ページ27

　
　
　
「なんだコイツら！瞬間移動するとか聞いてねぇぞ！今回ばかりは俺が聞いてなかったわけじゃねぇよな⁉」

「あぁ、私も聞いてなかったよっ！」

『五条くんっ、いつもは聞いてないって、白状したねっ、』


さすが男子高校生とも言うべきか


軽口を叩きながらも大して息を乱すことなく呪霊と戦う


……僕を除いて


まぁ言い訳をするならば、五条くんと夏油くんは術式を使っているため遠距離攻撃が可能だが、僕は近距離でないと戦えないっていうのがあるかな


そんなことを考えていたら、視界から呪霊が一体消えた


『えっ、』

「！A！」


真後ろに移動した呪霊に気づくのと同時に、五条くんに腕を引かれた


そのまま彼は僕を突き飛ばして呪霊を祓ってくれた


一体祓ってもまだ呪霊はいる


五条くんにもう一体近づいた


次の瞬間、僕は驚きの光景を目にした


五条くんが呪霊に吹っ飛ばされてしまったのだ


どうして、五条くんには無限が………


はっ！


そうか、僕の腕を掴んだから


そのときに無限を解いてしまったんだ


僕のせいで、五条くんが



「ッ！A！悟じゃなく前を見ろ！」


夏油くんの声で我に返る


すぐ目の前まで呪霊が迫っていて


すぐ逃げなくては殺される


でも、体が動かなくて


何してるんだ……！


これっぽっちのことで死んでたまるか…！


なんとか、上体を引いて距離を取ろうとした


……けど


『なっ…！(ﾊﾞﾂｯ』


急に視界が明るくなるのがわかった


それは、僕の視界を遮る障害物が無くなったという、何よりの証拠で


『うあっ、前髪っ』


呪霊は目の前にいなかった


夏油くんが五条くんに何かを叫んでいたから、そっちに行ったのかな


そこからはよく覚えてない


気づいたら呪霊が二体ともいなくなってて、帳が上がっていた


全部、2人が片付けてくれたんだ


何か言わなくちゃ


そう頭で考えようとしても、今僕の脳内を支配しているものには勝てなかった


顔を見られてしまう


もしかしたら五条くんはわかるかもしれない


そうなったら、また独りになってしまう

　
　
　

……僕は何を悩んでいるんだろう


もう、十分過ぎるくらい楽しい時間を過ごしたじゃないか


こんな僕がこれ以上幸せになってはいけないんだ


気づかれて、嫌われて、蔑まれて


それが運命なんだ、きっと


独りになるのが、当然なんだ
　
　

弐拾壱話→←拾玖話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す