玖話 ページ15
呪霊に斬りかかろうと構えて、ふとある考えが頭をよぎった
夏油くんは呪霊を取り込もうとしているのではないだろうか、と
もし二体とも取り込むつもりなら、僕がさっさと祓ってしまってはいけないのではないか、と
…失念していた
何が、僕でも倒せるだ
夏油くんはきっと僕には無理だっていう意味で言ったんじゃない
勝手に解釈して勝手に腹を立てて、お門違いも良いところだ
『…作戦変更。斬らないで夏油くんを待ちましょう』
[ふむ。主がそういうのならよかろう]
夏油くんが来るまで逃げ回ればいい
僕にできることはそれだけだ
『よっ…』
動きが遅いから準備運動にもならないや
これで本当に一級なのだろうか
「A!無事か!」
『夏油くん、今なら捕まえられるよ』
「!ありがとう」
一度夏油くんが出した呪霊に取り込ませ、その後真っ黒な球体状にする
呪霊玉
まあまあ大きなそれを嚥下した彼の、ごく僅かな表情の変化を
僕は見逃さなかった
『ねぇ、夏油くん。呪霊ってどんな味がするの?』
「え……そうだな、吐瀉物を処理した雑巾を丸呑みしているような味、とでも言おうか」
『へぇ……アレを毎日……』
「え?」
夏油くんは、理解できる人なんていないと思ってたんだろうな
僕も一回だけだけど経験したことあるよ
呪霊じゃなくて本物で
『ううん。なんでもないよ。じゃあ口直しに飴あげる』
「…ありがとう」
この前、家入さんに貰った飴
「任務先で会ったおばあちゃんに貰ったけど、甘い物好きじゃないし。でも五条にあげるのは癪だから」
ってことで僕が貰った
いつかは食べるかと思って持ち歩いてて正解だったかな
「…甘い」
『あ、甘い物好きじゃなかった?』
「ん、あぁいや、そういうことじゃないよ。美味しい」
…さっき僕は、夏油くんのために呪霊を祓わずにいた
でも、こんな夏油くんを見たら
『さっさと斬っちゃえば良かったな』
「!」
少し俯いていると、頭に暖かくて大きなものが乗った
…夏油くんの手だ
「ありがとう、A。私のためを思ってくれて」
『…当たり前だよ。友達、だもん』
夏油くんは、穏やかな笑みを浮かべていた
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乃愛(プロフ) - 薬研藤四郎!刀剣乱舞!まじで嬉しいです!男主の愛されってあんまりないので嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月17日 11時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - えっと!絵を書かせていただいて、Twitterで、出しました。黒弧って調べて見てください。 (2022年10月2日 9時) (レス) @page1 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
豆乳様。(プロフ) - 間違えて、コメント消してしまったので再コメントです…。あの…、奇跡的に苗字に国が付いてるとことか誕生日が同じとか私と共通点多すぎてビックリしました!!なんか、テンション上がりますよね(え?)www最強コンビ好きなので、この作品神作です!! (2022年1月8日 22時) (レス) id: 0c1825ef28 (このIDを非表示/違反報告)
Dオタの極み - トウモロコシさん» コメントありがとうございます!やっぱり薬研藤四郎って人気な刀なんですね… (2021年7月14日 8時) (レス) id: acb1846eac (このIDを非表示/違反報告)
トウモロコシ(プロフ) - あ……もう刀に薬研藤四郎がいる時点で神作品だと悟った (2021年7月14日 2時) (レス) id: 59f131ffc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Dオタの極み | 作成日時:2021年5月11日 23時