【銀魂】細雪の残滓-2-

ep19.たぶんここが光源だ　1/3 ページ18

道場の隅のほうで胡坐をかいて、頬を着きながら目前の試合をぼうっと眺める。いつまでやり続けるんだろ、この二人は。こめかみにツーっと滴が流れてきたのを感じて袖の隅で軽く拭った。

今日も今日とて道場破りこと、高杉晋助はルーティンとでも言わんばかりに松下村塾の剣道場に乗り込んできていた。今日で何日連続だろうか。そもそも初日はいつだったっけ？暦でも見ないとわからないくらい彼は道場破りに来ていて、変わらず初日のように銀時に挑み続けている。

いつまでやるつもり？、と前に聞いたら俺が勝つまで。と真っ直ぐに言うものだから、もの好きだなあ。なんて思った。

ちなみに初日以降、私と晋助が手合わせはしていない。とりあえずは銀時を倒すのが彼の目標となっているらしい。そのあとはテメェだ、とつい先日彼に宣言されてしまったので、彼がいくら気にしてないと言ってもこちらとしては負い目があるので、はぁ。と頷くしかなかった。

正直純粋な剣の腕は銀時のほうが上だから、私の良く言えば我流、悪く言えばごりごりの肉弾戦での戦いに勝ったところで、誇るものなんて無いと思うのだけども。いうなればじゃれあい。ケンカ。そこらへんのもので、道場破りなんてものでする戦いではない。とも言ったのだが晋助は頑なに納得しないので、渋々私が折れたのだ。

たぶん、高杉晋助は負けず嫌いなのだ。それも重度の。一度でも負かされた相手には意地でも勝ちたいのだと思う。

あまりにも生傷が絶えないので見かねてその日の試合が終わったら手当をしてあげなさい、と松陽に言われたのは翌日のことだった。傷は治るどころか増える一方なところを見ての判断だと思う。
私は手当をするのだけど(初日は私の悪癖が８割悪いせいで晋助の意識を飛ばしてしまった負い目もあって)、「同門でもないのに、世話なんかやくんじゃねェ。バカか。それに、これは俺が勝手に来てやってることだ」と晋助本人に言われたのには口をぽかんと開けてしまった。けれども、しないとしないで私も松陽からお願いされている以上、私は私で、立場が危ういので実力行使で手当てをして帰らせる。

一言余計なので１つ傷が増えているのはご愛嬌。試合じゃない怪我のほうが、試合後の取っ組み合いでの怪我のほうが多いなんて気のせい気のせい。……気のせいったら気のせい。

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