55匹 ページ9
腹の底から大声を出し切ったトーテムポールは溜め息を吐くと椅子に座り直し、筐体の画面に向き直る。
「お前の仕事は昨日と同じだ。
机は太宰のを使え、紙もペンもそいつの机に埋まっている。
いいか、くれぐれも余計なことをして俺の理想の邪魔をするなよ」
めんどくせーな。
お前の理想ってなんだそれ、知らねぇよ。
なんて考えは心の中だけにしまっておく。
俺は微笑んで「わかりました」というと国木田独歩の向かいの書類やらファイルやらでぐちゃぐちゃの机に向かう。
先ずはこれの整理からだよなぁ。
でも俺が勝手に仕分けてもいいのか?
要るものと要らないものとの区別なんてつかねえし、どっかから持ち出されたらしい事件ファイルもどこに戻せば良いかも判らねぇ。
適当なとこに戻して後で叱られんのもやだしなぁ。
指示出すなら最後まではっきり出せよ。
取り敢えず椅子を手前に引き、今にも隣と前に雪崩そうなファイルや紙をその椅子の上に崩れないように乗せる。
ペラ紙は左腕に抱え、ファイルは仕方ないから1度床に置く。
本もファイルと一緒に床へ。
ペンやメモなどの比較的小さいものは押しのけて空いた空間に置いていく。
そうして大雑把に仕分けたら、広くなった机にペラ紙とファイルを置いて、シワが付いた紙を1枚々々丁寧に伸ばして重さのあるファイルを上に乗せて重石の役割を課す。
にしてもなんでこんなに大量の紙とペンがあんだよ、こんなに要らねえだろ。
紙まっさらばっかだし、ペンは赤ばっかり。
まっさらの紙の中に『反省文』とか『始末書』とか題が付いてるのが気になるが、今は放置。
次はファイルの背を見てなんかその辺の棚から引っこ抜いてきたと思われる文字が書かれた物とそうでなさそうな物とを選別。
引っこ抜かれたと思われるファイルを抱えて戸棚に向かい、戻⋯⋯せない。
あ、これ仮名順じゃねぇな。
ファイルの色⋯⋯でもなさそうだし。
もしかして事件のあった日付順とか?
でもこれなんとか事件って書いてあるファイルもあるが、企業一覧らしきファイルもある。
何順だこれ畜生。
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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年3月25日 10時