49匹 ページ3
俺はしゃがんで机の上の小さな元置物に目線を合わせる。
毛がつやつやだ。
乱歩もこれには興味深そうにじっと元置物を見詰めてる。
と思うとひょいと赤い首輪をつまみ上げて自分の目の高さに持っていく。
元置物は「放せ」と暴れてるけど全く意味が無い。
そりゃそうだ、首裏掴まれてるのに手足をばたつかせた所で己の首に手が届く訳じゃねぇんだもん。
元置物は疲れたのか、暫く暴れると力を抜いて動く事を諦めた。
その代わり俺をじっと見つめる。
ブルーの瞳が助けろ、と云っている。
「⋯⋯あー、乱歩。
その辺で放してやれ、」
手を差し出せば詰まらなさそうに乱歩は元置物を置いた。
元置物は再び顔を擦って毛繕い。
「お前が乱歩の云う天使か?
CYACYAと狐に乗り移って俺を助けてくれた奴なのか?」
机の上に首輪を掴んで載せれば行儀よく座る。
否、机の上に乗ってる時点で行儀良くはないか。
「ああ、そうだよ。
偉大なる我らが父よりお前の警護を命じられた天使様だ、敬え小娘」
「⋯⋯」
俺が黙って奴の頭の上で茶の入った湯呑みを傾けると、元置物は深く頭を下げた。
「状況、そして経緯を簡単にそして判り易く説明しろ」
湯呑みを机の上に置き、俺は椅子に座る。
「⋯⋯お前は天使で、ちょっとした行き違いがあって愚かな人間としてこの世に生を受けてしまった。
偉大なる我らが父はその事実に深く心を痛め、早急にお前を天界に呼び戻すことを決意なさった。
だが、人間が天界に戻るには魂を肉体から切り離さねばならない。
しかし、御身自ら下界に干渉する事はご法度。
それ故に天使達の中でも非常に優秀であった我に偉大なる我らが父は、お前を殺す事を我に命じられた」
⋯⋯は?
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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年3月25日 10時